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番外編『愛すべき贈り物』37
「……ふうん。じゃあ、雅紀は一緒に来なかったんだ?」
「まあな。あいつも担当してる案件があるからさ。誘ったけど都合つかなかったんだよ」
「じゃあ、今夜はホテルで独り寝? 寂しいでしょ。俺が慰めてあげようか? ……ベッドで」
変装の為、電車で移動中は、祥悟は里沙とよく似た服装をしていた。背が高いから流石に女には見えないが、もともと女性的な容姿だから、そんな格好した祥悟が、挑発的な上目遣いで微笑むと、妙な色気があってドキッとする。
「ばーか。んなもん要らねえっつの」
暁は祥悟の頭をぺしっと叩いて、里沙の方を見た。里沙は呆れた顔で首を竦め
「祥、いい加減にして。そんなことばっかり言ってると、雅紀くんに言いつけちゃうわよ」
「んー俺は別に構わないけど? 言いつけられて焦ってフォローしなきゃなんないの、俺じゃなくて暁くんだし」
「はっ。何もやましいことねえのに、焦るかよ。俺がおまえと浮気とか、ぜってーにありえねえし。雅紀がんなの気にするわけねえじゃん」
せせら笑う暁に、祥悟はむすっとして
「ふうん。まあ、そうかもね。暁くんがもし浮気するなら、相手は女の子だろうし?」
「や。だからおまえ、なんで俺が浮気するの前提だよ? 男でも女でも、雅紀以外に俺が浮気なんかするかっつーの」
「あっそ」
祥悟はちらっと里沙を見てから、つまらなそうに手元のスマホをいじり出した。
「おまえね。俺にくだらねえちょっかい出してる暇があったら、新しい恋人でも作れよ」
「うわ。それこそ、余計なお世話でしょ。だいたい俺こないだ振られたばっかだし」
暁は車内販売で買ったコーヒーを1口すすって
「里沙から聞いたぜ。振られたんじゃねえだろ、おまえ。二股かけてんのがバレて、修羅場ったんだろ」
「ちっ。里沙。余計なこと言うなよな」
「おまえもそろそろ、いい年なんだからさ。少し落ち着いて、真面目に相手見つけろよ」
「それ、暁くんにだけは言われたくないね。今は雅紀と真剣ラブみたいだけどさ、君の過去の女遊びは俺の比じゃないんだから。二股三股なんか当たり前だったし、里沙とだって最初から遊びだったくせに」
祥悟に痛いところをつかれて、暁は気まずそうに里沙を見た。里沙はやれやれというように、首を竦めて苦笑している。
「そのことは今の話に関係ねえだろ。俺はおまえのこと、心配して言ってるだけだっつーの」
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