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番外編『愛すべき贈り物』40

「傍から見れば、俺と雅紀の関係はまだ危ういのかもな。盛り上がって浮かれてるだけだろ?って感じちまうんだろ。雅紀がまだ不安定だから、余計にな」 「うーん。あのね。たしかに君たちのこと、俺はそこまでよく知ってるわけじゃないんだけどね。俺が気になるのは、君が勘違いしてるってことより、君が勘違いしてるって、雅紀が思いたがってる点なんだよね」 祥悟の意外な言葉に、暁は眉をあげた。 「思いたがってる……?雅紀がか?」 「事情、それほど分かってない俺でも、そう感じたよ。君との付き合いに逃げ腰なのって、実は雅紀の方なんじゃないかな?ってね。いや、逃げ腰っていうと言い方悪いかな。何て言うの?いつでも別れの覚悟は出来てる……みたいな?」 暁は祥悟の顔をまじまじ見つめて、げんなりとした顔になり 「マジか……。あいつと話してて、おまえもそういうの、感じちまうのかよ?」 「うん。あのこ、嘘つけないからね。もちろん、そんなことはっきり言うわけじゃないし、本当のところは分からないけど」 暁はまたため息をこぼして、腕を組んで考え込んだ。 「なんでだろうなぁ……。俺の愛し方が足りねえのかな。俺は全身全霊でさ、あいつのこと、好きで好きで堪らんっての、出してるつもりなんだけどなぁ」 「逆効果なのかもね。それが」 「逆効果?」 「元ノンケの暁くんがさ、雅紀の許容範囲超えて、好きだ好きだって言ってくる。雅紀に訳ありの過去があって、後ろ向き思考ならさ、逆に不安かもよ?勘違いしてないかな。熱が冷めたら、一気に離れていっちゃうんじゃないかなって。暁くんは性格的にそういうの、理解出来ないかもしれないけどね。恋愛に臆病な人ってさ、いるんだよね。自分だけ盛り上がってるんじゃないかなって、すぐに不安になる。自分が相手だと、不幸にさせちゃうんじゃないかって、考えちゃう。相手のこと、好きなら余計にね」 暁はちょっと遠い目をして、雅紀のことを思い浮かべた。 素直で嘘のつけない、俺の可愛い仔猫ちゃんには、たしかにそういう悪い癖がある。 「恋愛に臆病……な」 暁自身、自分だけ盛り上がってただけだったのかと悩んだことはある。最初の出逢いの後、なかなか雅紀から返事が来なかった時と、雅紀からお別れのメッセージが、SNSアプリで届いた時だ。 結局それは、貴弘にストーカーされて、げっそりやつれるほど追い詰められていたり、瀧田に脅されてやむを得ずだったりと、雅紀の本意ではなかったことが、後ですぐに判明したが。 今、雅紀が本当にそんなことを思っているかは分からないが、もしそうなら、祥悟の言う通り、暁には理解出来ない感覚かもしれない。暁がそういう不安を感じたのは、雅紀から距離を置かれたからであって、相手からこれでもかと好意を示されているのに、そんな思考に陥ったりはしない。 ……あいつのそういう臆病なとこも、嫌いじゃねえんだけどな

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