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番外編『愛すべき贈り物』41
「だったらおまえはさ、どうすりゃいいって思うんだ?俺が雅紀に好きだ〜って突進しねえ方がいいっていうのかよ」
暁のぼやきに、祥悟は意味あり気に微笑んだ。
「うーん。でも、いきなり手のひら返すような態度は、かえって仔猫ちゃんを不安にさせるだけだよねぇ」
暁はうわぁっと情けない顔になり、髪をがしがしして
「だったらどーすんだよ?押すのも引くのもダメならさ、俺はどうしようもねえじゃん」
その言葉を待ってましたとばかりに、祥悟はふふっと笑って身を乗り出した。
「あのさ。暁くん。俺にいい考えがあるんだけど?」
「お?おう」
暁も思わず身を乗り出しかけて……はたっと我に返った。真顔になって、祥悟の楽しそうな笑顔を、じと……と見つめる。
……や。ちょっと待て。祥悟のいい考え?いやいやいや。それはダメだろー。まんまと乗せられてんじゃねーぞ、俺。
暁は心の中でぶんぶんと首を振り、表情を引き締めた。
「いや。おまえの助けは借りねえし。自分で解決するからいい」
途端に祥悟はむすっとして
「うわぁ。何その疑り深さ。せっかく俺が、親身になってあげてんのにさ」
「んー。まあ、雅紀がぐるぐるしてるってこと、教えてくれたのは感謝するわ。ありがとな」
暁は不貞腐れる祥悟を宥めるように、にかっと笑うと
「ただなあ。まだ始まったばかりなんだよ。雅紀と俺の関係は。なんせ生まれたての恋だからな。不安定だったり、すれ違ったり、問題あったりってのは当たり前だ。でも俺はさ、そういう今の状態も嫌じゃねえんだよ」
「…………」
「ま、傍から見てるとまどろっこしいだろうけどな。でも俺は少しずつ大切に、あいつと心を重ね合わせていきたいんだよ。あいつが後ろ向いたり、不安で立ち止まって悩んでたら、俺も立ち止まって黙ってあいつの傍にいる。動き出したら一緒に隣を歩く。そんな風にしてさ、ゆっくりゆっくり寄り添っていきたいわけ」
暁の言葉に祥悟はつまらなそうに鼻を鳴らして、そっぽを向いて小さく呟いた。
「……ムカつく」
「あ?なんか言ったか?」
「別に。なーんにも」
それまで黙って2人の話を聞いていた里沙が、ほぉ……っとため息をついた。
「あなた、ほんとに変わったわね、暁。本気の恋、してるのね。なんだか羨ましいな」
しみじみと言う里沙に、暁はちょっと微妙な顔をして
「ま、理想はそう思ってるんだけどな。ただ、そうのんびりもしてらんねえんだよ。俺には時間が……」
「え?」
「あ……いや、なんでもねえ」
暁は誤魔化すように笑うと、コーヒーを啜った。
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