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番外編『愛すべき贈り物』45

「うーん。余計なこと言って、君を悩ませたって、早瀬に怒られちゃうかな」 お菓子を見つめて黙り込んでしまった雅紀に、古島は苦笑する。雅紀ははっと顔をあげて、ぷるぷる首を振ると 「ううん。余計なことなんかじゃ、ないですっ」 「田澤社長が早瀬の親代わりなら、僕はあいつの兄貴みたいなもんなんだよ。だからつい、お節介焼いちゃうんだよね。君のようないい子が、あいつのパートナーになってくれて、ここの連中は本当に嬉しいんだよ。……あ、これもちょっと君には重たいかな」 苦笑する古島に、雅紀はふにゃんと笑って 「ううん。重たいなんて、全然。むしろ俺、自分が重たいのかもって思ってる位だから」 「あのね。雅紀くん。君は、君に会う前の早瀬を知らないんだよ。まあ、当たり前なんだけどね。でも、それを知ってる僕たちからは一目瞭然なんだ。早瀬は変わった。君に恋してからね。その変化が凄く良い方向にだってことは、僕たちが太鼓判を押してあげるよ。 男同士だろうが何だろうが、お互いにいい影響を与えあってる関係が、ダメな関係なはずはないよね。君はもっと自信を持っていいんだよ。早瀬をあれだけ魅力的に輝かせているのは、君の存在なんだってことにね」 雅紀の目が潤み始めた。 古島は暁のことを、弟のように大切に思ってくれている人なのだ。 こんなにも力強く嬉しい言葉はない。 「僕は、恋愛って最終的には魂の結びつきだと思ってる。フィジカルな部分ももちろん否定はしないよ。ただ、身体の結びつきとか子孫を残せるかとか、そういうこととは関係ない心の部分が、最終的には一番大切になってくるんじゃないかなって思ってるんだ。 男女の恋愛だって、年を取った時に、2人の間に何が残るかって言ったら、想い合い慈しみ合う心だよね。 君たちがこれから共に歳月を重ねていった先に、2人の魂が深く寄り添い合えていれば、他に何も必要ないんじゃないかな」 ー2人の魂が深く寄り添い合えていれば……。 見開いた雅紀の目から、ぽろんと涙が零れ落ちた。 自分の命より、大切で愛しい人。あの人の為なら、自分の残りの人生を、投げ出してもいいとさえ思い詰めた。もし、暁と秋音と、そんな風に愛し合っていくことが出来るなら、本当に他に望むことなんか何もない。 古島は、何のてらいもなくぽろぽろと涙を零す雅紀を見て、ちょっと切なそうな顔をして 「君のその大きな綺麗な目で、真っ直ぐに早瀬を見てごらん。余計な雑念なんか捨てて、ただ素直に、早瀬の心をしっかり見つめてごらんよ。きっと君には見えるはずだよ」 「……古島さん……俺……」 古島は微笑んで手を伸ばし、雅紀の頬にそっと触れた。雅紀はびくっとして、目を伏せる。

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