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番外編『愛すべき贈り物』47

打ち合わせが終わって、マネージャーの渡会が退室した後、廊下で待っていた暁が、入れ替わりに里沙の部屋に入った。 少し疲れた顔をしてソファーに座っている里沙が、暁に気づいて顔をあげる。 暁は部屋の中を見回してから、里沙の側に歩み寄り 「里沙。祥と連絡取れたか?」 「ううん。まだ。携帯、何度かけても繋がらないの。マネージャーにも確認したけど、まだ連絡取れてないって」 暁は髪をわしゃわしゃすると、 「あんのやろー。完全にバックれやがったな。んで。明日の打ち合わせはどうなった?」 「大丈夫。そっちは私とマネージャーとで上手く調整したわ。ただ……その後のスポンサーとの食事会は、延期になっちゃったわね」 「マジか。それはまずいだろ。大丈夫なのかよ?」 「仕方ないわ。祥は体調悪くて休ませてるって言ったら、明日の撮影に響くといけないからって、先方は一応納得してくれたけど」 ため息をつく里沙に、暁は眉を顰めて 「こういうこと、よくあんのか? あいつ」 里沙は苦笑して首を竦めた。 「昔はよくあったけど、最近はずっと大人しかったのよ。ようやく大人になってくれたんだって、安心してたんだけど」 暁はうーんっと唸って 「里沙。おまえ、あいつを甘やかし過ぎなんだよ。なんかあると、そうやっていっつもフォローしてやってんだろ? いい年して、仕事の約束事も守れねえなんて、ダメダメだ。見つけたら、俺ががっつり説教くらわしてやるよ」 里沙はちょっと切なく笑って 「ごめんね、暁。迷惑かけて。多分、私がいけないの。祥がこの仕事、本当は辞めたがってるの、私、ずいぶん前から気づいてて……。でも今更辞めて、普通の仕事、あの子に出来るとは思えなくて。やっぱり無理させちゃってるのかな……。本当は自分の好きなこと、やらせてあげるべきなのかもしれないな」 「里沙……」 「もう1度、祥とよく話し合ってみるわ。前にもかなりごちゃごちゃしたのよ。でも……ほんとにもう、潮時なのかも」 暁は壁に寄り掛かって腕を組み 「まあ、今後のことは、話し合うにしてもさ、今目の前にある仕事に、きっちり責任持てねえのは、大人じゃないわな。里沙、あんまり1人で背負い込むなよ。橘のお義父さんにも、相談に乗って貰えって」 「……そうね。そうするわ。ありがとう、暁」 里沙は少し照れたように微笑んで、頷いた。 暁はちょっと遠くを見るような目で何か考えていたが、やがて意を決したように里沙に視線を戻して 「……ところでさ。里沙。ちょっとおまえに……聞きてえこと、あるんだわ」 急に歯切れの悪くなった暁に、里沙は不思議そうに首を傾げた。 「なあに? 改まって」 暁はちらっと里沙を見て、またすぐに目を逸らし 「や。いや、なんつーの? んー……。つまりだな」 「ひょっとして……雅紀くんの、こと?」

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