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番外編『愛すべき贈り物』59
じたばたと暴れる雅紀の動きを利用して、男は慣れた様子で後ろ手に縛り上げ、喚こうとする雅紀の口に猿轡を噛ませた。
?!?!?!
雅紀は完全にパニックだった。何がどうなったらこんな事態になるのか、まったく意味が分からない。でも、もがけばもがくほど、男は楽しむように雅紀の身体を転がしながら、自由を奪っていく。
「ちょっ、克実。そいつはてめえの客じゃねえだろっ。手荒なこと、すんなっ」
祥悟が抗議しても、克実は鼻で笑って
「今おまえ、そういう口きける立場じゃないって分かってる? まずは自分の身の心配しろ」
「つーか離せよっ。おまえ、マジでイカレてんだろ?俺にこんな真似しやがって」
喚く祥悟の顎を掴んで、克実はにやにやしながら顔を覗き込み
「いいザマだよな、祥悟。昔からおまえ、いばりくさってやりたい放題してくれてたよな?ずっと仕返ししてやりたいって思ってたんだよ」
「はっ。仕返しとか、子供かよ。だいたいさ、俺がもし、あいつじゃなくて里沙を連れて来たら、おまえどうするつもりだったわけ?」
一向に怯む様子のない祥悟に、克実はちょっと苛立ちながら
「そりゃあもちろん。祥悟、おまえの目の前で、里沙を抱くつもりだったに決まってるだろ」
祥悟は嫌そうに顔を歪めた。
「おまえ、本気で狂ってやがる。どんな悪趣味だよ、それ」
克実はクツクツと楽しそうに笑って
「なあ、祥悟。俺が気づいてないとでも思ってたのか? 目の前で里沙を抱くのが、おまえを苦しめるのに一番効果的な方法だろ。なんたって、おまえがこの世で一番愛してる女だもんな~里沙は」
舌なめずりでもしそうな楽しげな顔の克実を、祥悟はぎりっと睨み付けた。
「……どういう意味だよ。この下衆野郎っ」
「言葉通りの意味だ。おまえさ、自分の双子の姉貴にずーっと片想いしてるよな? 禁断の恋ってやつだ」
ニヤつく克実に、祥悟はベッと唾を吐き
「何言っちゃってんの? おまえ、いっぺん医者に診てもらえよ。妄想もそこまでくれば……」
「ま、いいさ。認めたくないならそれでもな。里沙を抱くのはまた次の機会だ。今夜はな、祥悟。あいつらにたっぷり可愛がってもらうんだな。最高に楽しくなれる薬も用意してやった。どろどろになって、あられもない姿、晒してくれよな。全部動画に撮っといてやるよ」
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