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番外編『愛すべき贈り物』66※
克実は苛立っていた。
祥悟に施した媚薬の効果はばっちりだ。完全に正体を失くして、男たちのなすがままに妖しく乱れ、おもちゃにされている。3人目の男の上に跨って、自ら嬌声をあげながら腰を使う浅ましい姿に、普段の高慢な祥悟の面影はまったくない。
それなのにだ。
克実がどれだけ嘲っても、貶め強要しても、祥悟はただヨガリ声をあげるだけで、屈服の言葉を口にしようとしない。これだけ狂わされているのに、頑として服従を拒んでいるのだ。
克実は苛立ちながら、祥悟のペニスや乳首にローターを押し当てた。祥悟は狂ったように身悶えてぼろぼろと涙を零し、びくびくと痙攣を繰り返す。それでも、克実の望む言葉は絶対に言おうとしない。
……ちょっと薬を使い過ぎたか。
正気を失い過ぎて、羞恥も屈辱も感じなくなっているのだろう。祥悟への精神的な復讐が目的の克実にとっては、これでは全然面白くない。
……1度射精させて、ちょっと正気に戻してやるか
克実は顔をあげ、部屋の中を見回した。ふと、ベッドの隅でもぞもぞしている男に目が止まる。祥悟を嬲るのに夢中になっていて、こいつの存在をすっかり忘れていた。どうせ嘘に決まっているだろうが、里沙の結婚相手だとか言ったな。男のくせに、まるで人形のような美しい顔立ちをしていた。顔も体型もコンプレックスの塊な自分とは雲泥の差だ。気に入らない。
……こいつも……嬲ってやるか?
克実は祥悟から離れると、いったんベッドを降りて、雅紀のいる方に背後から近づいた。
……なるほど。後ろ手に縛られた革紐をほどこうとして、もぞもぞしていたわけか。
克実はほくそ笑むと、手を伸ばした。雅紀の肩を掴んで自分の方を向かせ
「残念。無駄な努力だったな」
そう言ってにやにや笑いながら顔を覗き込む。雅紀はびくっと飛び上がり、引き攣った表情で克実を見上げた。
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