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番外編『愛すべき贈り物』67※
……!!
苦労の甲斐あって、ようやく結び目がゆるんできて、あとちょっと……という所で、いきなり肩を掴まれた。いつの間にか背後に忍び寄っていた克実が、にやにやしながら、顔を覗き込んでくる。
「残念。無駄な努力だったな」
「……っ」
……あとちょっとだったのに!
雅紀は肩を掴まれたまま、もぞもぞともがいた。克実は下卑た笑みを浮かべていて、男のこういう表情には、悲しいかな覚えがある。この後、自分の身に何が起こるのか、雅紀は嫌になるほど知っていた。
「ふうん……。こうして見ると相当綺麗な顔してるな? おまえ。その怯えたような表情も妙にそそられる」
……や。綺麗じゃないしっ
ってか、全然そそられなくていいですっ
口には革製の猿轡を噛ませられているから、言葉は虚しい唸り声にしかならない。
「うーーっ」
急に克実がのしかかってきて、雅紀は唸りながら首を振り、身を捩った。お決まりみたいな展開が悔しくて、泣きたくなる。
……暁さんっ
「おい、祥悟の前を外して1度出させろ。カメラの前でだぞ。そっちの撮影が終わったら、ちょっと手を貸せ」
克実の指示に、手が空いてる方の男が頷いて、祥悟のペニスの縛めを外した。犯してる男が祥悟の両脚を大きく開かせ、腰を激しく使い出す。
「っひぃっあ゛ーっあーーっ」
祥悟は掠れた悲鳴をあげ、がくがくと身震いした。唐突に解放された前から、たらたらと粘液を吹き零し、びくびくと切なげに痙攣する様子を、もう1人の男がつぶさに撮影している。
ずっと堰き止められていた祥悟の射精は、勢いのないまま、長くだらだらと続いた。男に突き上げられる度に、苦しげに悶えぼろぼろと涙を零す祥悟を、雅紀は息を飲んで見つめた。
全身を桜色に染めて、長すぎる絶頂に身悶える祥悟の姿は、強烈にエロティックだ。でも、激しい苦痛と紙一重の快感を嫌というほど知っている雅紀は、過去の酷い記憶が蘇ってきて、恐怖しか感じない。
……怖いっ。ダメだ、駄目っ。息が、出来ない……っ
耐えきれずに意識が飛んだのだろう。祥悟の身体からがくんと力が抜ける。
撮影していた男が、ハンディカメラをシーツに置くと、雅紀ににじり寄ってきた。
「次はこいつだ。いったん全部解いて、すっ裸にしろ」
「そちらは予定にありませんが」
眉を潜める男に克実はにやりと笑って
「オプションだ。その分の料金は倍で出す」
「……承知致しました」
ショックで金縛りになっている雅紀に、男たちが無言で近づいてくる。1人に押さえつけられたまま、もう1人に手足の縛めを解かれた。自由になった手足は痺れていて、逃げたいのに全く抵抗出来ない。
……やだっ。やだやだやだっ
暁さんっ暁さんっっ
必死に暁の顔を思い浮かべようとするが、服を剥ぎ取ろうとする男たちに、過去の残酷な記憶の残像が重なっていく。
暁に買ってもらったお気に入りのパーカーを脱がされた。中のシャツに男の手が伸びる。襟を掴んで引き破られ、前のボタンが弾け飛ぶ。
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