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たゆたう水面。浮かぶ月。2※

暁はちょっと呆気に取られて、指はそのままに、雅紀の様子を伺った。 雅紀は全身をピンクに染めて、ぷるぷる震えている。 ……今の何だ?あの声って……気持ち良かった……んだよな……? 雅紀の反応をじっと見ながら、もう一度同じ場所を指先で弄ってみる。 「ああっんや……ぁあっ」 雅紀は明らかに艶を帯びた声で鳴き、身悶えた。 ……これってあれか。前立腺ってヤツか。 話には聞いたことはあるが、あいにく暁は、自分のそれを意識したことはない。ここで快感を得るかどうかは、個人差があるらしいが、雅紀はどうやら凄く感じるらしい。 ようやく、手応えのある反応を引き出せて、暁は内心ほっとしながら、少し大胆になった。 ボディソープを中指にも垂らし、人差し指に添えて、2本をゆっくり押し入れていく。 雅紀は重たい呻き声をもらしながら、またヘリに置いた手に顔を埋めた。 2本の指を慎重に動かし、中を押し広げてゆく。 雅紀は気持ちいいのか、仔犬が鳴くような甘えた声をもらしながら、腰をくねらせた。 ……これだと、顔が見れないのがいまいちだな……。 暁はいったん指を引き抜くと、雅紀の腕を掴んで自分の方に振り向かせた。 驚いたように暁を見上げた雅紀の目は、涙に潤んでとろけていて、切なげに薄く開いた唇といい、はっとするほど、色っぽくて綺麗だ。 ……うわっやべえ… 下腹に一気に熱がたまり、自分のものが痛いほど脈打つのを感じる。 暁は膝立ちになり、雅紀の身体も自分の方を向かせると、誘うようなその唇に自分の唇を重ねた。 「うん……ふ……ぁぅん……んぅ……んっん…」 鼻からもれる雅紀の甘い声を聞きながら、手探りで雅紀の後ろのすぼまりを、また弄り始める。 相変わらず狭いが、最初よりはかなり解れて柔らかくなっている。2本の指を出し入れしながら、更に奥を拓いていった。 ……そろそろいいか……っつうか、俺ももう限界。 お湯の中で更にほぐし、指3本を出し入れ出来るようになると、暁は指を引き抜き、雅紀の耳元に熱い吐息とともに囁いた。 「風呂出てさ……部屋に行こう。これ以上は逆上せちまうから」 雅紀はコクコク頷いて、暁に手を借りてよろよろと立ち上がった。 バスタブから出ると、シャワーで軽く流してから、用意していたバスタオルで雅紀の身体をざっと拭き、自分の身体も拭いて、浴室を出る。 危なっかしい足取りの雅紀を、支えながら部屋に戻り、布団に座らせると、もう一度別のタオルで、髪の毛を拭いてやった。 雅紀は夢見るような顔つきで、ぼんやりしている。 「逆上せた?大丈夫か?」 顔をのぞきこむと、雅紀は恥ずかしそうに目を伏せて 「だいじょ……ぶ」 はにかむような微笑みを浮かべる。 ……うわ……デレスイッチ入ってるし……。 素直過ぎる雅紀に、暁はちょっときゅんきゅんしながら、彼を布団に押し倒し、のし掛かった。 唇から首、鎖骨、胸と、キスをしながらおりていって、さっきパッケージを開けておいた潤滑ゼリーの蓋を片手で開けながら、乳首を舌で舐め転がす。 「あっ……あ……んあ……あ」 雅紀は陶酔しきった顔で、可愛らしく喘いでいる。 「まさき……ちょっとさ、膝たてて?」 言いながら、雅紀の左足をつんつん促すと、雅紀は素直に、そろそろと片足の膝を立てた。 雅紀のものは完全に勃ちきっていて、既に先走りを溢している。 暁の手はそれを素通りして、後ろのすぼまりに伸び、指で潤滑ゼリーを入り口に塗り込めながら、ぐぐっと中に侵入した。 ……うわっ柔らかっ。 丁寧に解したその場所は、狭いながらも暁の指を柔軟に受け入れ、細かく収縮している。 雅紀は声にならない声をあげて、シーツを手繰り寄せ掴みしめた。 ゼリーを足しながら指の本数を増やす。指3本で中を広げながら掻き回すと、雅紀は切なく喘いで、足先でシーツを蹴って仰け反った。 指先で、さっき見つけたポイントを探してみる。ここかな…と見当をつけて、2本の指で挟みこんで刺激すると、 「んあぅっ……やっ……あっあっあん」 雅紀はとびきり甘ったるい声で鳴きながら、びくびく痙攣した。 「これ、気持ちいい?まさき、なぁ、いいのか?」 問いながら指で優しく揺さぶってみる。 「んぁっ……ああっ……ぃい……いいっ」 切なげに眉を寄せる雅紀の、焦点の定まらない目からは、涙が零れ落ちていた。指を揺らす度に、震え身をよじり、シーツを掴みしめる指に力がこもる。 自分の愛撫に、雅紀が艶やかに甘やかにとろけてゆく。 暁は、込み上げてくる、肉体的な快感とは別物の悦びをかみしめた。 「まさき……可愛い……おまえすげえ……可愛い」 熱に浮かされたように呟きながら、暁は指を蠢かせ、目の前の肌に唇を這わせ、吸い付き吸い上げる。 「あんっあ……んぅ……あ、あき……らさ……あっん」 雅紀が喘ぎながら名を呼ぶと、暁は顔をあげ、涙に濡れた瞳をじっと見つめて 「なあ……もういいか?……おまえの中、入っても……いい?」

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