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番外編『愛すべき贈り物』88※
「んっあ……っぁ……あぁ……っん……」
仰向けに横たわった暁の上で、雅紀が喘ぎながら腰をくねらせる。暁のものを咥え込んだ場所から、ぐちゅっぐちゅっといやらしい水音が聞こえた。
白い肌を桜色に染め、陶然とした表情で乱れる雅紀は、怖いくらい綺麗でエロティックだ。
さっき、まだ足りねえのか?と揶揄いはしたが、雅紀のそれは性欲の問題というより、心の問題だろう。以前より精神的にかなり強くなったとはいえ、今日のことでまったくショックを受けていないはずはない。恥ずかしがり屋のこいつが、わざわざ顔を見てしたいと自分で言い出すってことは、きっと不安なのだ。
これは愛し合う2人の神聖な愛の儀式なのだと。意にそまぬ相手に無理矢理されている行為ではないのだと。顔を見ながら繋がることで、しっかりと確かめておきたいのだろう。
……なあ、雅紀。おまえが少しでも怖いと思うんなら、いくらでもその不安、取り除いてやるぜ。自分が俺たちに愛されて大切にされているんだって、何度でも確信させてやるよ。
「……ま……っさき……っ気持ち、いいか?」
「……んぅっ……ん、あ……きら……さ……いい……っ好き……っ好きっ」
暁は雅紀の腰をぎゅっと掴んで、下からくいっくいっと突き上げた。雅紀はぽろぽろ涙を零しながら、艶やかに身体をくねらせる。
「あぁん……っあっんーぅ……っああぁ……っ」
「……っあたる、か? いい、とこにさ。な……っ雅紀……っ」
「あう……っあーぁあん……ぁ……っいいっいい~あぁぁんっいいっ」
びくびくびくっと震えて、雅紀はそのままがっくりと上半身を折り、暁の顔に抱きつくと、激しい勢いで唇を奪った。雅紀がくれるキスは甘い香りとしょっぱい涙の味がする。
暁はゆるゆると腰を突き上げながら、雅紀の柔らかい舌を吸い続けた。
「……ぁきら……ぁさん……」
半分夢の世界にいるみたいな蕩けた顔で、雅紀が舌っ足らずに暁を呼ぶ。
「……んー? ……どうしたぁ……?」
答える暁の顔も声も、満たされた後の心地よい気だるさを滲ませている。
雅紀は暁の頬に自分の頬をすり寄せ、くすくすくすっと甘ったるく笑った。
「……寝てるぅ……でしょ……暁さぁん……」
「んー……おう。……なんかさ……天国に、登ったまんま……おりらんねー……感じ……だな……」
雅紀は暁のほっぺたをぐにぃ~っと摘んで
「ここぉ……ふにゃふにゃ、です」
暁は仕返しとばかりに、だるそうに雅紀の頬を優しく摘んで
「おまえも……おんなじ……だろ」
まだくすくす笑っている雅紀を、ぎゅうっと抱き締めて
「ゆっくり……眠れよ……雅紀。俺はおまえのそばに居てさ、誰よりも、おまえのこと、愛してるからな……ずっと……。だから……なーんも心配要らねえんだぜ」
「……うん……暁さん……大好きぃ……」
雅紀は幸せそうに微笑むと、むにゃむにゃ言いながら目を閉じた。
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