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月のない夜に4※

今は優しく抱かれたくない雅紀と、激しく抱いて嫌な気分を忘れさせたい暁。 2人の想いが重なりあって、どちらの動きも荒々しさを増していく。 顔に足がつきそうな程、上半身を折り曲げさせられて、苦しさよりも快感に狂ったように喘ぐ雅紀の身体に、暁は太い楔を何度も打ち込んだ。 ギリギリまで引き抜き、一気に根元まで突き入れる。雅紀は息も絶え絶えに鳴き呻き、もっともっととねだるように、腰をくねらせ、暁の興奮を煽る。 「おま……えっ……それっやめろって……っ…てか……げんっ出来なく、なるっだろ…っ」 「あうっあーーっあっき……らさもっ……んうっ……もっと……ああっこわしてっ……っ」 「くっ……まさきっ……イクぞっ」 がつがつと抜き差しのスピードを速め、暁は低く呻いて欲望を解き放った。 「あっ……あーーーっ」 身体の奥の楔が膨らみ、熱くたぎったものを吐き出したのを感じて、雅紀はガクガク震えて、軽くのぼりつめた。 「くそっ……ムリだ、とまんねー」 気持ちよすぎて、腰が勝手に揺れる。 暁は自分のものを引き抜くと、ぴくぴくしながら放心しかけている雅紀を抱き起こし、ひっくり返して、後ろから宛がい、押さえつけて一気に貫いた。 雅紀は掠れた悲鳴をあげて、ソファーに顔をうめる。 ソファーに膝立ちして、形のいいお尻を突き出している雅紀に、暁は立ちバックで腰を使い始めた。 「あっんあっはぁあっあっあっあっはあうっあ」 イったばかりで敏感な身体を、暁の楔が抉るたびに、雅紀は押し出されるように、喉の奥から甘い声を撒き散らした。 「ああ……すっげ……いいっ」 息を荒げ、熱く掠れた声で呟く暁が、肩に噛みついてくる。 「ああんっ……いいっきもちいっ……あうっいいっいぃーっ」 暁の動きに合わせて、雅紀も腰をくねらせた。 鳴き叫ぶ雅紀の尻を掴んで、中をこねまわす。 ぎゅぎゅっと暁のものに食いついてくる肉壁の感触が、暁の理性を根こそぎ奪い取っていった。 後背位で立て続けに2回イった後で、糸が切れたようにガックリとソファーに沈み込んだ雅紀に気づき、ようやく暁は我に返り、自分のものを引き抜いた。 雅紀の尻から、自分が注ぎ込んだものが、溢れて足に伝い落ちる。 その淫靡な光景に愕然としながら、暁はそろそろと手を伸ばし、うつ伏せの雅紀を、後ろから抱きすくめた。 「まさき……なあ……まさき?」 ピクリともしない雅紀に、暁の顔が青ざめる。 慌てて自分の方を向かせ、顔をのぞき込むと、雅紀の瞳が揺れながら暁を捉えた。 「大丈夫か?まさき」 「ん…」 雅紀が微かに首を動かした。薄く開いたままの唇がふるると震え、 「しぬ……かとお……もった…」 暁ははぁ~っと、つめていた息を吐き出し 「……俺も、やり殺したかと思った…」 ほっとして肩の力が抜け、ついでに腰にきたのか、暁はソファーにへたりこんだ。 「勘弁してくれ……。マジで勘弁しろ。おまえ、煽りすぎ。理性ぶっ飛んじまっただろーが…」 頭を抱えて凹む暁に、雅紀はそろそろと手を伸ばして、暁の髪を弱々しく撫でる。 「ど……して……暁さんが、落ち込む…の?」 「言ったろ?俺はおまえに優しくしたいのっ。酷いことなんかしたくないんだって。わかれよっ」 「ひどく……ない。暁さん優しい……。俺が……こわしてって……言ったから…」 「優しくねーよ。俺、サイテーだろ。おまえの身体に、ばかみてえに溺れてんじゃん」 にっこり微笑んだ雅紀の目から、涙が零れ落ちた。 「……溺れてくれてるんだ…」 暁は、雅紀の透き通るような綺麗な笑顔に息をのみ、まじまじと見とれた。 「雅紀……」 「ありがとう……暁さん。大好き…」 「ああ。俺もだよ。だから……そんな顔して、泣くなって」 雅紀の顔を両手で掴むと、零れた涙を指先で拭ってやった。 雅紀の身体に力が入るようになると、暁は風呂の湯をためて、2人で一緒に入った。性的な意味合いは一切なしで、雅紀の身体を壊れ物のように扱い、中の汚れもかき出して清めていく。 雅紀は安心しきったように、暁の手に身体を委ねていた。 夕べのカレーの残りと簡単なサラダで、夕食を済ませると、雅紀は珍しく、自分から暁の横にピッタリひっついてきた。甘えるように暁の身体に凭れかかり、目を閉じている。 「雅紀。もう眠いか?布団、敷く?」 「ん……暁さん……俺ね…」 「うん?」 「明日、仕事から帰ったら、暁さんに聞いて欲しい話が……あります。」 「……こないだ言ってたヤツか?」 「うん」 「話す勇気、出たんだ?」 「うん。」 「ん。わかった。聞くよ。俺もおまえに話したいことがあるからな」 「え……暁さんも…?」 「そ。おまえが大事な話、聞かせてくれるんならさ、俺もきちんと話さないとな」 雅紀はちょっと不思議そうに首を傾げ、やがてふんわりと微笑んで頷いた。 

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