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月下の宴4※
手を動かすと、鎖のジャラっという音がして、何故か同じ側の足がつられて動く。
雅紀はまだ重だるい手で、そろそろと周りを探ってみた。
やはり指先に太い金属の鎖が触れる。雅紀は息をのみ、もう一方の手も動かしてみた。こちらも同じだ。
おそらく手首と足首を何かで拘束されて、鎖で繋がれている。
今度は両肘に力を込めて起き上がろうとして、首が詰まった。首にも何か枷のようなものがあり、横たわっている台に、鎖で固定されていた。
雅紀は震えるような吐息を漏らし、見えない目を必死に凝らそうとした。
……なんで…っ俺……縛られて?
雅紀は恐怖にかられて、やみくもに両手を動かした。つられて両足が操り人形のようにじたばたと勝手に動く。
「……あうっ…」
不意に、身体の奥に強烈な快感が走り抜け、雅紀は思わず大声で喘いで、身体をびくつかせた。
「はしたないな。ローターの弱い刺激だけじゃ物足りなかったの?ね、貴弘さん、このこ、独り遊びしてますよ」
耳元で忍び笑いが響き、瀧田の面白がるような声が降ってくる。雅紀はギクッと身体を硬直させた。
「目が覚めたようだな」
「あ……あ……あ…」
恐怖に喉が詰まり、言葉が出ない。瀧田だけじゃない。もう1人。この声は……
羽音が急に大きくなった。身体の奥のちょうど前立腺にあたったローターが激しく震えて、雅紀は悲鳴のような喘ぎを撒き散らし、ガクガクと身体を震わせた。
「こちら、縛っておいて正解でしたね。この調子だと何回イくか分からないでしょう」
「薬が強過ぎたんだ。これ以上は使うなよ」
瀧田はむすっとした顔で桐島を睨み付け
「そんなにこのこが大事?ちょっと妬けますね…」
桐島は苦笑いして、瀧田の細い指を指先でなぞり
「ふ……お前が嫉妬だと?馬鹿馬鹿しい。お前と雅紀の存在は、私にとっては全くの別次元だよ。くだらないことを言うな」
「さあ……どうでしょうね」
瀧田がローターのスイッチを切ると、糸が切れたように雅紀の身体が弛緩した。啜り泣くような息遣いだけが、しんと静まり返った部屋の中で響いている。
瀧田は指で雅紀の肌をなで回しながら
「色白だから、このこ、黒革の拘束具がよく似合う。感じるとピンクに染まるのですね。とてもエロティックだ」
真っ赤に熟れた胸の果実を指で摘まみあげ、ぎゅっと引っ張り唐突に放す。千切られるような痛みに、身をよじった雅紀は、痛みの後に襲ってきたじわじわとした快感に呻き声をあげた。
「ふふ。乳首もこんなに感じるんだ。清楚そうな顔して結構、淫乱ですね。ねえ、雅紀、気持ちいいですか?ここ、舐めて欲しいんでしょう?」
「……ぁう……や、やだ……も、やめ…」
雅紀がいやいやをするように頭を左右に振ると、瀧田は眉をひそめ
「嘘をつく悪いこには、お仕置きが必要ですね」
台の上に並んでいるものの中から、もうひとつローターを取り上げると、雅紀の乳首に押しあて、スイッチをいきなり最強にした。
「ああっあーーーっっ」
雷にうたれたように雅紀の身体が跳ねた。また唐突にスイッチを切られ、ピリピリとした痛みが、じんわりと疼くような快感に変わっていく。
下腹に熱がたまっていて、自分のものが痛いほど勃起しているのが分かるのに、やはり何かで拘束されていて、熱を放出できない。
「すごいですね。こんなにガッチリ革で根元を絞めているのに、涙を溢してますよ、ここ」
瀧田が、はち切れそうになっている雅紀のものを指で弾く。雅紀は声にならない叫び声をあげて手足をガクガク揺らした。
「おい。あんまり乱暴に扱うな」
「見てないで貴方も遊んでください。ねえ、雅紀。貴弘さんに舐めてもらいましょうか」
「や……あっや……たかひろさ……おねがぃ……はずして…」
桐島の声がした方に、目隠しで見えない目を向けて、必死に言葉を絞り出す雅紀に、
「雅紀。どうして私に嘘をついた?あの男に脅されていたのか?」
「お……ねがい……貴……弘さん…」
「答えなさい。私からの連絡を拒否して、早瀬暁に抱かれていたのは何故だ。何をネタに脅された?」
雅紀は弱々しく首をふり
「ちが……ぅ、暁さんは……関係な…」
「力づくで暴行されたんだな?生まれも育ちも卑しそうな男だ。どうせ写真でも撮られて脅されたのだろう。可哀想に……。あいつは私が追っ払ってやったからな。もう2度とお前の身体に触れさせはしないよ」
桐島の言葉に雅紀は息をのみ
「……っ暁さんに……っ……何したの!?」
「今頃は東北新幹線の中ですよ。いろいろ仕掛けておいたから、当分は帰って来れないでしょうね。……いや。2度と帰って来れないかもしれない」
笑いを含んだ瀧田の言葉に、雅紀は首を横にふりながら
「やっ……やめて……あの人は関係ないから……巻き込ま……ないで…っ」
黒い目隠しが、雅紀の涙でじわりと濡れて、染みが広がっていく。
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