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月下の狂宴2※

「あん……うや……んっう……んあう……んっう……いあっあっ」 「ふふ……。これ、良いですか?すごく感じているみたいですね。いやらしいな、雅紀。腰が揺れてますよ」 「やあっやだ……ぁんっあうっあうっいやっあんあっあーーっ」 雅紀の声に艶っぽさが加わり、苦しそうにもがくだけだった動きにも、妖しい色気が増していく。 グラス片手に傍観者を決め込んでいた桐島が、グラスを置いて椅子から立ち上がった。ゆっくりと歩み寄ってくるのを、瀧田はちらっと横目で見てほくそ笑み、 「ね、貴弘。こんな細いディルドでこの反応ですよ?もっと太いものでかき回してあげたら……どうなっちゃうんでしょうね」 桐島はじろっと瀧田をねめつけ 「かせ。私がやる」 欲情に掠れた声で低く呟き、ディルドを掴むと、ゆっくりと抜き差しを始めた。ずぶずぶと奥まで突き入れ、小刻みに揺らしながらぎりぎりまで引き抜く。 雅紀は切なげに眉を寄せ、感じきった表情で、桐島の手の動きに合わせるように腰を蠢かせ、よがり声をあげた。 過去、雅紀との密会で、このような性具を使うことはなかったが、ホテルで会う時はいつも泊まりで、じっくり時間をかけて愛撫しながら抱いた。この感度の良い身体の隅々まで、どこが弱いのか、どうすれば感じるのか、桐島はよく知っているつもりだ。 ディルドの角度を変え、雅紀が悦ぶポイントを狙って押し込んでいく。思った通りの場所で、雅紀の身体がびくびく跳ねた。感じすぎて辛いのだろう。涙をぼろぼろ溢しながら、両手で台を引っ掻き、腰をガクガク揺らす。 瀧田の与えた薬の効果は絶大だった。感じやすいとはいっても、ここまで淫らによがり狂う姿は、今まで見たことがない。 桐島は息を荒げ、中をかきまわしながら 「淫乱め。こんな玩具で犯されても、お前は感じるのか」 「ああーーっあっあっあーーっ」 「あの男にも見せたのか。その浅ましい姿を。犯されて感じて、淫らにないてみせたんだな」 「あっう……だめっいっいくっあぁん…いっちゃぅあっあっ、んっあーーーっ」 イきたくても前は縛られ栓までされている。精液が逆流するような狂おしい衝動に悶え、雅紀はとうとう悲鳴をあげながら、空イキして身体を硬直させた。 「ふ……ドライでイキましたか」 瀧田は虚ろに見開かれた雅紀の目を見つめ、黒革の首輪の、台に繋いでいた鎖をカチリと外し、次いで手首と足首の鎖も外してやった。 出せば終わりになる射精も、塞き止められていれば、強烈な快感はそのまま体内に留まり、解放を求めて荒れ狂う。 「あぁっ……外してぇ……これぇ……やっあぁ……とって……ねぇ、これぇ…」 自由になった手を下腹に伸ばし、自分のものに触れようとする雅紀の手を掴んで 「だめです。イキたいならちゃんとおねだりをしないと、出させてはあげられませんよ、雅紀」 雅紀は身をよじり顔を歪めて 「……イキたいぃ……あぁ……おねがぃ……とってぇ」 薬で強制された快感に完全に冒されているのか、甘えた掠れ声で哀願する雅紀に 「じゃあ、あちらのベッドに行きましょうか。可愛くおねだり出来るようになったら、これ、外してあげましょうね」 瀧田は優しい声で囁いて、頷く雅紀に口づけを落とした。 ―雅紀。悪い。今夜急に東北に行くことになった。 ―終わったら連絡くれ。行く前にお前に会いたい。 ―まだ終わらないか?とりあえず○○駅の改札で待ってる。 ―ダメだな。もう電車乗らないと。顔だけでも見たかったよ。 ―雅紀。今、東北新幹線の中。用件済ませたら、なるべく早くそっち戻るからな。 ―週末さ、お前もこっちに旅行しないか?温泉とか泊まってさ。 ―なあ、雅紀。仕事まだ終わんねーの? 暁は自分の送ったメッセージの後に、雅紀から来たメッセージを見つめて、ぼんやりとしていた。 ―暁さん。いろいろと親切にしてくれてありがとう。 ―俺ね、本当はゲイで、ある男性の愛人だったんです。 ―彼と喧嘩して、別れようかと悩んでいたんですけど ―彼、奥さんと別れて、俺だけを愛してくれるって ―養子縁組して、正式に彼の籍に入れてくれるって ―俺、今すごく幸せです。 ―だからもう、暁さんとはお別れしないと。 ―本当にありがとうございました。さようなら。 「……なんだよ……これ…」 何回読み直しても、メッセージは到底信じ難いような内容のままだ。 ……男の……愛人……?誰が?雅紀が?……養子縁組……? 「何……言っちゃってんだよ……雅紀……。何これ……冗談きついっつーの」 悪い夢を見ているのだと思った。目が覚めたら、こんなバカげたメッセージは消える。 新幹線の中で、うとうとしていて、目が覚めてスマホを見たら、雅紀からのメッセージが来ていた。 でもそれは夢で、自分はまだ眠ったままなのだ。そうに決まっている。 暁はぎゅっと自分の腕をつねってみた。痛い。 メッセージは消えてくれなかった。

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