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番外編『愛すべき贈り物』120

絡め合った舌をほどき、軽く噛むように戯れた後、暁はゆっくりと唇を離した。祥悟がそっと目を開けて、キスで蕩けた目でうっとりと見上げると、暁は少し照れたように笑って 「いいぜ、君のキス。すげぇクる……。この続きも、俺にくれるか?」 暁のやり方は強引どころか、ちょっともどかしい位に丁寧だ。雰囲気任せに強引にぐいぐい来るようなイメージだったから、すごく意外な気がした。 祥悟がうっとりとした目で頷くと、暁は嬉しそうに微笑んで、唇にリップ音をたててキスを落とし 「シャワー、浴びてくるな。あ、先と後、どっちがいい‍?」 「……後がいい…」 「OK。んじゃ、待っててくれな」 暁はウィンクすると、さっと起き上がって浴室へ消えた。 祥悟はそれを見送って、ほぉ…っと溜め息をつく。 結構長いキスだったのに、まだ物足りない気がする。もっとずっと重ねていたかった。 ……キスでこんなに感じるとか、ひさしぶりかも。 女物の服に隠された下腹が、じんわりと熱を持つ。物足りないとは思ったが、あのまま続けていたら、ちょっと堪らなくなっていたかもしれない。 祥悟は浴室の方をチラッと見てから、ブラウスの胸元を開き、ブラジャーのパッドの間に仕込んだICレコーダーを確認した。 ……シャワーか。どうするかな…これ。 シャワーを浴びたら、後はベッドインだけだ。事に及ぶ直前まで録音出来れば、これの任務は完了になる。 ……シャワー浴びた後で、ガウンの下に、ブラつけてても大丈夫…かな。 ブラジャーと中のパッドを外せば、いくら化粧で誤魔化していても、祥悟の胸は真っ平だ。 暁にそっちの気が少しでもあれば、最初から男として誘惑する手もあったのだが。 祥悟はチェックしたICレコーダーをもう1度パッドの中に戻すと、肌蹴た胸元を直した。 浴室のドアが開く。 ……っ。 腰にバスタオルを巻き付けただけの姿で、頭をタオルでゴシゴシしながら暁が現れた。 ……ちょっ。ガウンぐらい羽織れよっ 思わず見えてしまった暁の、均整の取れた見事な裸体に、祥悟はドキッとして、慌てて目を逸らした。服の上から想像していた以上に、逞しくて男らしい綺麗な身体だった。女顔で細身の自分にはない、雄の色気が駄々漏れだ。 「お待たせ。空いたぜ」 祥悟は目を背けたまま頷いて、暁の脇を通り抜けようとした。伸びてきた手に、がしっと腕を掴まれハッとする。 「洗ってやろうか?」 悪戯っぽい目で覗き込まれて、耳元に甘く囁かれ、祥悟は目を見開き、慌てて首を振った。暁はくすっと笑って 「冗談だよ。ごゆっくり」 祥悟はちょっと赤い顔で、暁の目を睨みつけると、そそくさと浴室に入ってドアを閉めた。 ……くっそー…。揶揄いやがって いつもの自分ならば、あの程度の戯れ、逆に受け流して反撃してやれるのに。言い返せないから、いちいちウブな反応になってしまうんだ。 祥悟は心の中でぶつぶつ文句を言いながらドアにロックをかけ、脱衣場で服を脱ぎ捨てた。

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