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番外編『愛すべき贈り物』124
上目遣いに見つめると、暁は途端にピキピキと固まった。
「や……いや、それは」
「俺のこと、嫌い? 気持ち悪い?」
言いながら身を乗り出し、暁の顔にぎりぎりまで顔を近づける。暁はゴクリと唾を飲み込み
「気持ち悪くなんかねえって。でもさ、俺、ほんと男は抱いたことねえしさ」
祥悟は婉然と微笑んで、暁の頬を細い指先でそっと撫でた。
「大丈夫。俺が、教えてあげる」
さっきのへらへらした余裕の態度が嘘みたいに、暁は目を白黒させている。
……ふん。ざまあみろ。この女ったらしが。
内心の悪態はおくびにも出さず、祥悟は仕事で培ったテクニックを駆使して、ちょっと小悪魔的な表情を浮かべ
「ね……しよ?」
頬に当てた指を滑らせ、暁の顎をくいっと持ち上げて
「気持ち良く、してあげる」
言いながら、もう一方の手で、暁のガウンの紐を解き始める。
祥悟の目に魅入られたようにぼーっとしていた暁が、はっと我に返って、慌てて紐を解く祥悟の手を掴んだ。
「やっいやいや、待て待て。それはマズいっつーの。ちょっ、待てって」
「どうして? 俺、上手いよ?」
祥悟は暁の唇に触れそうなくらい近づいた。焦りまくる暁の目を逸らさせないようにじっと見つめながら、ガウンの紐を解くと、間から手を差し込んだ。
「おわっ」
ガウンの下は何も着ていないらしい。今、この指先が掠めたのは、こいつのヤル気満々のいちもつに間違いない。
暁は情けない声をあげて腰を引き、祥悟の手を掴み直した。
「こらっ。触んな」
祥悟はじと……っと暁を見つめ
「その気になってんじゃん」
「う……。でもダメだ」
「どうして? 男は嫌?」
「うーーーん……嫌っつうか……無理?」
「俺の身体、見たくなければ、目、瞑ってれば? 入れて出すのは男も女もおんなじでしょ?」
尚も中に突っ込もうとする祥悟の手を、暁は必死に押さえつけ
「そういう問題じゃねえよ」
「じゃあ、何が問題?」
ムキになって畳み掛ける祥悟に、暁は弱りきった顔になり
「いや、俺はおまえが女だって思い込んでキスしたわけだし、だから勃っちまってるわけじゃん? でもおまえのちんことか見ちまったらさ、きっと萎えちまう。いや、気持ち悪いとか言ってんじゃねーぞ? そういう問題じゃねえからな」
「萎えるかどうか、やってみなくちゃ分かんないし」
「いやいやいや、やってみなくても分かるっつーの」
暁のものをしつこく触ろうとする祥悟の手首を、暁はがしっと掴みしめ
「ごめん。マジで無理だ。ほんっとごめん」
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