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番外編『愛すべき贈り物』142※
そのまま氷を口で受け取ろうとすると、智也の顔が少し遠ざかった。期待を外されて、祥悟が唇を尖らせる。智也は宥めるように、その唇に人差し指でそっと触れてから、祥悟のシャツの前を肌蹴させる。何をするのかと祥悟が怪訝な顔で様子を窺っていると、智也はにこっと笑いかけてから、祥悟の胸に顔を埋めた。
「……ぁっ」
思わずびくっと震えた。
冷たい。
一瞬何をされたのか分からなかったが、肌蹴てあらわになった胸の尖りを、氷でつつかれたのだと気づいた。いったん離れた氷が、また乳首に押し当てられる。敏感な蕾に予想しなかった刺激。祥悟の身体がまたぴくんと跳ねた。押し当てられた瞬間は冷たくて痛い。でも離れるとそこがじわじわじんじんと熱を持つ。
それが何度も繰り返され、冷たいのか熱いのか、訳が分からなくなっていく。氷が溶けてなくなるまで、その戯れは続いた。
「この、変態……っ」
氷がなくなり、顔をあげて祥悟の反応を窺う智也に、祥悟が切なげな顔で毒づく。智也はくく……っと笑って
「でも、気持ちいいだろう?もっと、する?」
智也のしたり顔がなんだか悔しい。でも煽られて身体に火がついているのは間違いない。
「もう、いい。それより、抱いて。痛くしていいから」
祥悟の切羽詰まった声に、智也はちょっと哀しそうに微笑んで頷くと、氷で冷えた唇を乳首に押し当てた。
「っも、やだ、おまえしつこい…っ」
乱暴にでいいから、めちゃくちゃに抱いて欲しいのに、智也はじわじわと全身にもどかしい愛撫を繰り返すだけだ。祥悟は堪らなくなってきて、智也の顔を引き剥がした。
「がつがつ抱いてくんねえなら、もう、帰るっ」
のしかかる智也の身体を押し戻し、下から這い出ようとすると、智也の腕が伸びてきて、今度はうつ伏せに押さえ込まれた。祥悟は首を捻って智也の顔を睨みつけ
「なんなの?おまえ。もういいっつってんだろっ」
「怒らないよ」
智也は祥悟を押さえつけたまま、前に手を伸ばして、祥悟のペニスをぎゅっと握り締める。
「……あぅっ」
思わずびくっとして、祥悟は声をあげた。決定的な愛撫を貰えずに焦らされ続けた祥悟のペニスは、既に痛いくらい勃起している。絡みついた智也の長い指でくにくにとされると、痛みとは別の甘い痺れが走り抜けて、祥悟は喘ぎながら腰を揺らした。
「君に痛くするのは好きじゃないんだ。分かってるだろう?」
「っぁ……いい、から。俺が、いいって、言ってんじゃん。……っもう、突っ込めってば」
「とろとろになった君のナカに入りたいな」
祥悟はもどかしそうにお尻を揺らして
「んあっは…ぁっ……も、無理っ。もぅ、離せって。酷く、してくんない、ならっ、おまえとは、寝ないっっ」
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