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番外編『愛すべき贈り物』144※
不意に智也の声が後ろから降ってきた。昂りきった自分のペニスをぎゅっと握られて、祥悟は思わずびくっとした。
目隠しされているから、相手の行動の予測がつかない。視覚を解放されている時よりも、感覚が鋭敏になっている気がする。
祥悟は答えようとして、口も塞がれていることを思い出し、内心ちっと舌打ちした。
仕方なく意思表示の為に、黙って首を横に振る。今の自分は完全に智也のオンナだ。出してお終いの快楽なんか要らない。
「ここは嫌?なら、ここも縛ろうか」
笑い混じりの智也の囁きに、祥悟は今度は首を縦に振る。憎まれ口をきけないせいか、妙に素直で大人しい自分が笑えてくる。
「可愛いな、祥」
智也も同じことを思ったのだろう。ふふっと笑いながら囁いて耳たぶを甘噛みすると、そのままの体勢でごそごそと手を動かしている。さっきベッドの上に散らばした道具を拾い上げたのか、再びペニスに智也の手がかかり、ひんやりとしたものを巻き付けられた。
「今夜はここ、封印だね」
囁かれて、ゾクゾクした。射精を封じられ、これから先、果てることのない苦しさを伴う快感が押し寄せてくるのだ。想像するだけで身体の奥の熱があがっていく。
「大人しい君もいいけど、代わりにこっちは外そうか」
そう言って、智也が祥悟の口を塞いでいた猿轡を取り去った。祥悟が荒い息を吐き出すと、智也の手がするすると肌を滑って、胸の尖りをきゅっとつまみあげる。
「っっあっ」
ようやく許されて声が出た。智也の長いペニスを受け入れたままのナカが、期待にわななく。
祥悟は熱い吐息を撒き散らしながら、ゆっくりと動き始めた。自分の内壁でねぶるようにして、智也のものをじっくりと味わう。上下に揺れる度に、智也の指先で摘まれた乳首がぎゅっと引っ張られる。今夜の自分の身体はどこかおかしい。痛みが次々と快感にすり替わっていく。
「……ぁあっ……はっぁ……っ」
1番感じる部分で小刻みに揺らすと、脚の力が抜けてしまいそうなくらいの快感が、押し寄せてきた。縛められたペニスが熱の開放を求めて張り詰める。
もう、智也と積み上げる快楽以外は、何も考えられなくなっていた。頭の中を空っぽにして、ただひたすら高みを目指す。
……気持ちいい。気持ちいいっ。気持ちいいっっ。
祥悟ははぁはぁと息を荒げ、腰を激しく振り立てた。出口のないマグマが、発露を求めて奥からせり上がってくる。
「んあっ、あっ、あぁあっっ」
唐突に来た。プツンと何かが切れたみたいに、気が遠くなるような歓びが突き抜けていく。
祥悟の身体が、がくがくがくと勝手に痙攣した。
「ぁ……ぁぁ……ぁ……」
上り詰めたまま降りて来られない。こんな状態がずっと続いたら、きっと狂ってしまう。恐怖に駆られて、ぶわっと涙が溢れ出た。救いを求めて差し出そうとした手は、後ろで縛られたまま動かない。
智也がく……っと呻いて、後ろから祥悟の身体を抱き締めた。不安と恐怖を包み込むような、智也の体温が心地いい。
「……っすごいな、締め付け。ナカがきゅうきゅういってる」
智也が掠れた声で呟いた。
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