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番外編『愛すべき贈り物』164
祥悟ならば、1言われたら10は反撃しそうな気がする。しかも直球じゃなく、かなりの変化球や魔球で。
雅紀は内心の突っ込みを飲み込んで
「ううん。里沙さんは今不用意に加わらない方がいいと思う。暁さんも一緒だし、きっと大丈夫です」
祥悟が義父と2人きりで対決なら、雅紀もあそこを出る気はなかった。2人とも頭に血が上って、のっぴきならないことになるかもしれない。でも、暁が一緒だから、きっと大丈夫だ。
「それより里沙さん、祥悟さんって、お義父さんとあまり上手くいってなかったんですか?」
里沙の気を逸らそうと、雅紀が穏やかに問いかけると、里沙は表情を曇らせて
「うん……。元からあんまり……気が合わなかったみたい。いろいろ揉めた時期もあったから。それに……お義父さま、最近少しおかしい気がするの」
「おかしいって?」
「ちょっと前にね、所属タレントと揉めて訴訟騒ぎになったの。それだけじゃなくて……最近、事務所の雰囲気もピリピリしてて……。お義父さま、人が変わってしまったみたいな気がする」
雅紀は里沙を促して、もう1度ソファーに座らせると
「里沙さんの目から見ても、お義父さん、変わってしまった?」
里沙は哀しそうな目で雅紀を見つめて
「この間、久しぶりに食事をご一緒したの。話してて、すごく違和感を感じたわ。前は彼、あんな感じじゃなかった」
「何か嫌なこと、言われたりしました?」
「……そうね。うん、言われたわ。他のことはともかく、それだけは絶対に許せないってこと」
「それは、祥悟さんに関係あること?」
里沙はぎゅっと眉を寄せ、両手を膝の上で握り締めた。
「……はっきり、言われたわけじゃないの。でも、そうとしか思えなくて。彼がそんなこと、疑ってるなんて、絶対に信じられない」
雅紀は柔らかく微笑んで
「ね、里沙さん。もし嫌じゃなかったら、もやもやしてること、俺に話してみてください。言葉に出すことで、気持ちが整理出来るってこと、あるから」
「なるほどな。類は友を呼ぶというヤツか。桐島さんからのご紹介というから信用してみたが、所詮は探偵風情だ。里沙に近づけるのではなかった」
気を取り直した橘が、再び嫌な笑みを浮かべる。
「なんだと?! この野郎、もういっぺん言って……」
「ちょっと、暁くん!」
ムキになって橘に突っかかっていこうとする暁を、祥悟は意外な馬鹿力で引き戻した。
呆気には取られたが、暁が本気で怒ってくれたのは嬉しかった。里沙だけじゃなく自分のことも、大切な親友と思ってくれている。そういうストレートな好意は、捻くれ者と自覚している自分にはちょっとこそばゆい感覚だが、不覚にも目がじわっと熱くなるくらい嬉しかった。
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