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番外編『愛すべき贈り物』178

苦笑混じりの智也の言葉に 「……なんか、予定あんの‍?」 「いや、ないよ。ただ、もし俺が出ていたら、せっかく来てくれても空振りだろう?」 「いいじゃん。おまえ、ちゃんと部屋にいたんだからさ」 靴を脱いであがろうとした祥悟の足がよろけた。智也は慌てて彼の腕を支えて 「もしかして……酔ってる‍?」 祥悟は智也の肩に頭を預けて、ふぅ……っと吐息を漏らした。 「ん……酔ってる。今日は結構、飲んだかも」 智也はそっと祥悟の顔を覗き込み、何も言わずにぐいっと抱き寄せると 「歩ける‍? 抱っこしてあげようか?」 「ばーか。歩けるっての。腕、貸して」 智也は微笑んで頷くと、祥悟を支えながらリビングに連れて行った。 ソファーにどさっと腰をおろして、祥悟は背もたれに身を預ける。智也は急いでキッチンに行き、グラスにミネラルウォーターを注いで、彼の元に戻った。 「はい、水」 「ん……ありがと」 祥悟は気怠げに顔をあげ、そう呟いたが、手を出して受け取ろうとはしなかった。 「飲ませてあげる?」 祥悟はのろのろと首を横に振り、ぐいっと身体を起こした。 手を伸ばし、差し出されたグラスを受け取ってあおる。 ごくごくと水を飲む祥悟の横顔を、智也は黙って見守った。 祥悟がこんな風に、酔って突然この部屋を訪ねてくることは、珍しくはない。 ただ、いつもとは何か様子が違う気がした。 口移しに水を飲ませるのも、ごく当たり前にいつもやっていたから、拒否されたことに智也はちょっとショックを受けていた。 ……なんだろう。怖いな……。 祥悟とたまに身体を重ねる関係になってから、もう10年以上経つ。智也がモデルを辞めた後、しばらく疎遠になった時期もあったが、その後また祥悟が気紛れに訪ねてくれて、長い腐れ縁は続いていた。 一時はこんな関係が切なくなって、自分1人にしないかと持ち掛けたこともある。でも祥悟にあっさりと却下されて、もう1度同じことを言う勇気はなかった。 たまに会うのが自然になっていて、智也はもう彼との関係に今以上のことを望むのは止めている。過大な期待はしない。例え気紛れでも、祥悟との細い糸がまだ切れずにいる。それだけで充分だった。 ……でも……もしかして……。 祥悟はグラスの水を一気に飲み干すと、はぁっとため息をついて、口の端から零れた雫を手の甲で拭った。 「どこでそんなに、飲んでたんだい? 誘ってくれたら付き合ったのに」 智也は祥悟からグラスを受け取ってテーブルに置くと、隣に少し間を開けて座った。 「んー……まあ、いろいろ。独りで飲みたかったからさ、知り合いいねえとこ、わざわざ選んでたの」 「そう……。何か、あった?」

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