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番外編『愛すべき贈り物』189
「違うだろ! おまえ、優しいから、俺のこと、追い払えなかっただけだろ? 俺みたいな我が儘で勝手なヤツ、好きになるわけねーじゃん」
駄々をこねるみたいな祥悟の言葉に、智也はまた首を振って
「バカだな、祥。俺は、君が、好きだ。他の人なんか要らない。君だけが好きなんだ。初めて会った時から……ずっとね」
「だからぁ……そういうこと、言うなってば。また……手放せなくなるじゃん。おまえのこと縛り付けてさ、振り回しちまうじゃん。やっと……決心出来たのにさ」
祥悟の言葉に、智也ははっとしたように目を見開き、祥悟の両手首をぐいっと引き寄せた。
「祥……手放せなくなるって……どういう、意味?」
息がかかりそうな間近で顔を覗き込むと、祥悟の瞳が潤んで揺らめく。
「言葉通りの意味、じゃん。やっと決心したんだ。もうこれ以上、おまえに甘えちゃダメだってさ。おまえ、俺の唯一の癒しだったからさ。ここでだけは、俺、なんも身構えないで、楽に息、出来てたからさ。だから……おまえ苦しめてんの分かってても……どうしても手放せなかったんだよ!」
まるで駄々っ子みたいに怒鳴る祥悟の苦しげな様子に、智也は呆然とした。
……祥……。それ……それって……
気まぐれで自由奔放で、なかなか本音を見せてくれない猫。時折、ふと思い出したようにふらっと訪ねてくれる、恋人とは呼べないつれないセフレ。
来てくれただけでいつもドキドキして、出来るだけ居心地良く過ごさせてやりたいと願っていた。
でもまさか……祥悟がこの場所を、そんな風に大切に思ってくれていたなんて。手放したくないと、執着してくれていたなんて……。
「祥……っ」
智也はそっぽを向こうとする祥悟の顔に更に近づいた。勢い余って鼻と鼻がぶつかる。
「……ぃってぇ……おま、なにやってん……」
「手放したくないって、思ってくれてたの? ここ、気に入ってくれてたのかい?」
勢い込んで畳み掛けると、祥悟が目を白黒させた。
あれ……?
自分は今、どんな顔しているのだろう。
「はぁ? おまえさ、なに言ってんだよ、今さら。つか、顔近いっつーの」
「ねえ、答えてよ、祥。君にとってこの場所は……」
智也のあまりの剣幕に、祥悟はたじたじになりながら
「う……。だからさっき、言ったじゃん。おまえは俺の唯一の癒しだったって。俺、独りで自分の部屋にいる時より、ここにいる方が好きだったし。すっげー……居心地良かったし」
言いながらだんだん祥悟の顔が赤くなり、気まずそうな不機嫌な顔でそっぽを向いていく。
……なにそれ……なに、その可愛い顔。……嘘だろ。ああ……夢みたいだ……。祥悟……。君は……
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