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番外編『愛すべき贈り物』217
雅紀が、自分に何か内緒にして、里沙と頻繁に会っていた。まさか浮気か?なんて馬鹿げた気を揉んだりしていたが、全てはこの装いを自分に魅せてくれる為だったのだ。
自信がなくてぐるぐるしていたって、雅紀はずっと、一途な想いを持ち続けてくれている。
祥悟の巻き添いになりかけた後、古島がそっと教えてくれた。雅紀が自分に内緒で、護身術を習っていたことを。それも全て、自分と秋音を守ってくれようとする、雅紀の一途な思いなのだ。
……なんかもう……どうしよう。こいつ。健気すぎて愛おしすぎて、どうしようもねえぜ。
ちょっと泣けてきた。鼻の奥がツンとする。暁は雅紀の細い腰をぐいっと引き寄せて
「俺も愛してる。大好きだよ、雅紀。抱かせてくれるか? 大丈夫だ。そのドレスは汚さねえからさ」
雅紀はぽわんっと頬を染めて、うっとりと頷いた。
まるでVIPルームのような大きな洗面化粧台のある脱衣ルームで、ドレス姿の雅紀を、暁は後ろからふわっと抱き締めた。
「すげえな。流石はスペシャルスイート。ここだけでうちの浴室スペース1個分以上あるぜ」
大きな鏡の中で目が合った雅紀が、ふふ……と嬉しそうに微笑む。
「ほんと。なんだかお城の中みたいですよね」
「んー。そうだな。んじゃ、おまえはこのお城のお姫さまってとこだ」
暁は少し屈んで、雅紀の横に自分の顔を並べると
「さて、姫。お召し物を汚さぬように、わたくしにお手伝いをさせていただけますかな?」
おどけた暁の言い方に、雅紀は楽しそうにくすくす笑って
「はい。よろしくお願いします」
暁はまず、雅紀の髪をふんわりと纏めていた髪留めやリボンを優しく丁寧に外していった。
鏡の中の雅紀は、毛繕いして貰っている猫みたいな、気持ちよさ気な顔をしている。
「よっしゃ。お次はドレスな」
暁は満足そうに、雅紀の柔らかい髪をくしゃっとしてから、背中のファスナーを探った。
「んーと。……お、これか」
ホックが髪に絡まらないように慎重に外し、首からそっとファスナーを下ろしておく。
「このドレスさ、おまえにって選んだの、里沙か?」
「ううん。祥悟さんです。もう一つの方と迷ってたら、こっちの方が絶対に似合うって」
「ふ~ん。祥の見立てか。やっぱ、あいつ、センスあるな」
途中で噛んだりしないように、ほっそりとした身体のラインに沿って、ゆっくりと腰の所まで下ろし終えると
「ん。じゃあさ、まずは袖抜くぜ?」
総レース仕立てになっている繊細な生地の、肩口を優しく外し、袖口を引っ張って腕から抜いてやる。
「おわっっ。マジか。ちょっ、やべえ……鼻血出そう」
上半身を脱がせると、暁の心拍数は一気に跳ね上がった。ドレスの下から現れたのは、身体のラインが綺麗に出る、ビスチェタイプの純白の下着だったのだ。この恥ずかしがり屋さんが、まさかこんな素敵な下着まで身につけているなんて……。
雅紀は目元をうっすらと染めて、鏡の中の暁をじとっと睨みつけ
「暁さん、やっぱ、変態……」
「や。だってさ、これはヤバいだろ。すっげー……エロ可愛。ってか、ちょっと待てよ? ひょっとして……」
暁は雅紀の腰の辺りに目を落とすと、ごくり……と唾を飲み込んだ。
……上がこれってことは……まさか……。
対になっているであろう、下半身の下着姿を想像して、危うく本気で鼻血が出そうになる。
「下……脱がせるぜ?」
情けないほど掠れた声が出た。
暁はドキドキしながら、細いウエストで留まっていたドレスを、ぐいっと掴んで引き下ろした。
……っ。やっべぇ……。
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