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特別番外編「君が消える日」4
「他にだーれもいねえ孤島でさ、3日もラブラブいちゃいちゃ出来るんだぜ? よくね?」
暁は立ち上がって雅紀の所に行くと、後ろから抱きついて、耳元に囁く。雅紀は横目でちろっと睨んで
「孤島じゃないし。ここ、周りは別荘地ですからね! 誰かに見られたら…」
口を尖らせて文句を言う雅紀の耳が赤い。暁は柔らかそうな耳たぶをはみはみして
「いねえよ。季節外れの別荘地に人なんか。他人の目気にしいのお前のためにさ、ここ借りたんだぜ。2人だけの甘~いX'mas、過ごそうな」
とっておきの低音ボイスで囁くと、雅紀は目元をうっすらと染めて、瞳をうるうるさせている。
……おーお。可愛い顔しちゃって
「んもぉ…いつだって、他人の目なんか、全然気にしない、くせに……」
憎まれ口を言いながらも、前に回された暁の手をきゅっと掴み
「でも、一緒に旅行なんて久しぶりだし。すっごい嬉しい。暁さん、ありがとう」
「どー致しまして。な、な、風が強くなってきたしさ。そろそろ中に入ろうぜ。ここの寝室、屋根裏部屋になってんの。すっげー雰囲気いいから見に行こう? な?」
「……寝室……」
背中にすりすりと懐いている暁を、雅紀はちろ…っと横目で睨んだ。
「……まだ、夕方です……」
暁はへらっと笑って見せて
「分かってるって。寝室をさ、見に行くだけだぜ。俺もここのホームページで紹介されてる写真見ただけだけどな、天窓とかあっていい感じなんだよ」
「天窓……?」
雅紀は興味を引かれたのか、ジト目を止めて首を傾げる。その反応に暁は気を良くして
「そ。天窓。夜さ、2人並んで上を見上げると、まーるい窓から月とか星とか見れちゃうってわけだ。すっげーロマンティックだろ?」
雅紀は目を丸く見開き、興味津々に頷いた。
……お。ノッてきてんじゃん。くぅ~。可愛いヤツっ。
暁は内心むふむふしながら、ちょっと澄ました顔で片目を瞑り
「な? 今ならさ、綺麗な夕焼け空とか見れるんじゃね? 行こうぜ」
暁はそう言いながら、雅紀の腕を掴んで促した。つられて立ち上がりつつ、まだちょっと悩んでる様子の雅紀に、考える暇を与えず歩き出す。雅紀は好奇心が警戒心に勝ったのか、素直に後に続いた。
「わっ……すごい……」
暁にいざなわれて屋根裏部屋へ足を踏み入れるなり、雅紀は目を輝かせた。ログハウスの大屋根の形そのままの屋根裏部屋は、想像していたより広くて、大きな木製のベッドとチェスト以外は何もない、シンプルな造りだった。まるで絵本か昔の外国の映画から抜け出してきたような、メルヘンな空間が広がっている。
「な~? いい感じだろ?」
何故かドヤ顔の暁に、雅紀はこくこく頷くと、好奇心いっぱいに部屋を見回した。
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