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特別番外編「君が消える日」15
暁は雅紀に飛びついて、ぎゅうっとしがみついた。
そうだった。男前なのは秋音だけじゃない。この守ってやりたくなるぐらい泣き虫で、華奢な天使こそが、自分を命懸けで助けようとしてくれた、最高の男前だったんだ。
「……消えねえっ。消えるもんかっ。俺はお前の傍を、離れねえからなっ」
雅紀は、胸に抱きついてきた、大きなわんこみたいな暁の髪を、優しく撫でた。
前に古島が言っていたことを思い出す。多分、暁の方が精神的に脆くて依存度高めだと。自分の存在こそが、暁の支えなのだと。
……そうなのかもしれない。だとしたら、どうしようもない自分を救ってくれたこの人に、自分は恩返しが出来るのだ。
変わらぬ愛を捧げることで。
ただ大好きでいるだけで。
……それは……なんて幸せなことだろう。
「ふふ。いつもと立場、逆転です。暁さんが可愛い」
「……う。可愛い、言うなっ」
「たまにはいいでしょ? 俺の方が貴方を甘やかしたって」
暁はひょこっと顔をあげ、上目遣いで雅紀を見ると
「甘やかして、くれんだ?」
「うん。可愛い可愛いしてあげますよ?」
暁は途端に悪い顔になって
「んじゃさ、さっきの続き、な? 俺のこと、可愛がって?」
雅紀は呆れたように目を丸くした。
「んもぉ。暁さんの、どスケベ。戻った途端にそれですか」
「えーいいじゃん。今夜はさ、恋人たちのあまーいX'masイブだぜ? もっともっと、おまえといちゃこらしてーし」
雅紀は苦笑しつつため息をついて、ふと天井を見上げた。
天窓から見える夜空には、綺麗な星が瞬いている。
もう一方の窓には、まるい月。
つられて上を見上げた暁が、目を輝かせた。
「お。すげー。めっちゃいい感じじゃん。やっぱこの演出いいよなぁ」
「ほんと……素敵だ……。うん。じゃあ、せっかくの夜だから、いちゃこら……しましょうか」
「……へ?」
自分から言い出した癖に、きょとんとしている暁に、雅紀はふふっと笑って
「今日は俺が、暁さんを可愛がってあげる。じっとしててくださいね」
「……」
ちょっと待て。なんだか、雅紀が悪い顔している気がする……。デレでもエロでもない、別のスイッチが入ってしまったような……。
ぼんやりと見上げていたら、雅紀の顔がおりてきた。唇にちゅっとキスを落とされ、暁は夢中で口づけを返した。
「……っちょっ待てっ。ギブギブ。もうギブアップだっつーのっ」
「だーめ。動かない、で」
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