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春月夜2※
雅紀は背伸びすると、暁の頭をきゅっと抱き締めた。
……本当の名前が分かっても、暁さんの孤独は続いてる。見つかって良かったと喜んでくれる人は、もう……。
「さて。身体冷えちまうな。風呂、入ってみっか」
暁は雅紀ににこっと笑い、明るい声でそう言うと、用意してきたタオルを木のベンチに置き、浴衣を脱ぎ始める。
「そっか……ここで、脱ぐんだ…」
「風が冷たいからな。ぱぱっと脱いで、急いで湯舟に浸かるぞ~」
あっという間にすっぽんぽんになって、腰にタオルだけ巻いた暁の言葉に、雅紀も慌てて帯を解くと裸になってタオルを巻いた。
引き戸を開け、露天風呂に出る。月明かりに照らし出された石造りの湯殿は、周囲がすっかり闇に溶けて、そこだけがスポットライトを浴びたように見えて、なんだかとっても幻想的だ。
「世界中に、暁さんと俺しか、いなくなっちゃったみたいだ……」
雅紀が思わず呟くと、暁は笑って
「おまえと2人なら俺は怖くねえよ。ほれ、こいよ」
滑る足下を気遣って、暁が手を差し出してくる。暁の、こういう何気ない優しさが、心に染みる。
暁の手を借りて、そろそろと湯船に足を入れた。外気で冷たくなった足に温泉の湯はちょっと熱い。
「身体がびっくりしちまうから、ゆっくり沈めろよ」
雅紀は頷いて、暁の手をぎゅっと握りしめながら、少しずつ腰のあたりまで湯に身体を浸した。
大きな石の出っ張りが、ちょうどいい腰掛けになっていて、暁はそこに座ると、雅紀のほっそりした身体を抱き寄せた。
暁が足を開いて座る間にすっぽりと収まって、雅紀はじわじわと沁みる湯の温度に身体を馴染ませた。
少し熱めだったが、そよぐ風が冷たくて、慣れてくるとその熱さが心地よい。
「いいなぁ。露天風呂。まわり囲まれてる風呂と違ってさ、熱気がこもらねえからのぼせねえし、なんかこう、きりっとしねえか?」
「ほんと。それにすっごく開放的」
暁は気持ち良さげに目を閉じて、両手を石の床に広げると
「あ~あ。せせこましく生きてんの、馬鹿馬鹿しくなってくるな。ここ体験しちまったら、俺のアパートの風呂場が辛すぎるだろ~」
雅紀はくすくす笑って、暁の胸にもたれかかり
「日常がちょっと窮屈だから、ここの良さが際立つんでしょ。いっつもこんなお風呂入ってたら、有り難みなんかなくなっちゃうし」
「ん~。まあ、そういうもんかもな」
暁はタオルを頭の上に乗せると、湯船から出ている雅紀の肩や胸に、お湯をすくってかけてやった。
「ほら、見てみ。お月さんが俺らのこと、見てるぜ」
「ほんとだ……。こっち見てる」
「そ。月だけだ。他はだ~れも見てねえよ」
暁は雅紀の耳にそっと囁くと、手を前に回して雅紀の胸を撫でた。
「……っぁ…」
雅紀の身体がぴくんと跳ねる。暁の手を掴もうとする雅紀の手を逆に掴むと
「自分で、触ってみな。もう、ぷつんって、なってるぜ」
さっきの名残のまま、少し尖っている乳首を、雅紀自身の指で触らせてみる。雅紀はもじもじと身体をくねらせ、上気した顔で暁を睨み付けた。
「ここが、おまえの、快感の粒な。こうやって弄ると、可愛い声が出るだろ?」
指先で尖りを摘まませ、上からくにくに動かしてやると、雅紀は微かに喘いで、顔を背けた。
「声、聞かせて。おまえの感じてる声、すげえ好き」
耳を唇ではみはみされ、熱い吐息とともに低く囁かれて、雅紀はくぅんと可愛く鳴いた。
ちらっと下の方に目を向けると、湯気のたつお湯越しに、雅紀のものが揺らめいて見える。
……他人のちんこを、可愛いとか思っちゃう日がくるとはなぁ……。
暁は思わずふっと笑って、雅紀の下腹に手を伸ばした。まだ半勃ちのそれにそっと触れてみる。雅紀はびくっとして両足をよじり合わせた。
「ぁきらさ……っん……っだめ、ここ、そと……っ」
「2人っきりだぜ…」
「んぁだって……っこえ、きこえちゃ……っ」
「大丈夫だよ。他の客の声なんか、聞こえねえもん」
股の間に必死で隠そうとするのを、足をこじ開けて手を差し入れ、きゅっと握ってみる。雅紀は慌てて両手で口を塞ぎ、こみ上げる声を押し殺した。
「んっ。ん、んーくぅ、ふ」
完全に勃ちあがった雅紀のペニスをお湯の中で扱きながら、ぷっくり膨れた乳首を指でなぶる。両方の快感の素を同時に愛撫されて、雅紀は掠れた声をもらしながら、ぴくぴく震えている。
「な……雅紀……気持ち、いいか?」
ふぅふぅ言いながら、雅紀は何度も頷いた。
……可愛い。けど、あんまやり過ぎると、いくら露天でもやっぱのぼせちまうよな……。かと言ってお湯から出したら寒すぎるだろうし……。
「ちょっと、立ってみ」
ふらふらしている雅紀を支えながら立ち上がらせ、自分も立ち上がって向かい合う。
月明かりに照らされた雅紀のバランスの良い肢体は、まるで人形のように美しくて……。
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