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春月夜3※

一時、可哀想なくらい痩けた頬もだいぶ元通りになり、柔らかい髪に包まれた小さな顔は、快感の余韻にうっすらと染まって、愛らしいのに色っぽい。 ……もうちょっと頬がふっくらしたら、完璧だろ。こいつの顔…ほんと綺麗だ……。 そおっと手を伸ばし、まるで壊れ物を扱うように優しく両手で頬を包み込む。雅紀は一瞬きゅっと目を細め、恥ずかしそうに暁を見上げた。 お互い全裸で月の光を浴びている。視線を下げれば2人とも互いのものが、興奮を示して勃ちあがっているのが分かる。 「好きだよ……雅紀」 「……っ俺も……暁さん……大好き」 「んじゃ。誓いのキスな。あのお月さんが証人だぜ」 暁は茶目っ気たっぷりに片目を瞑ると、雅紀の肩を引き寄せ優しく唇を吸う。啄むようなキスを何度も繰り返し、唇を離す度にお互いの目を見つめた。徐々に雅紀の目が潤み始め、赤くなり、ぽろっと大粒の涙が零れ落ちる。 神聖な儀式はだんだん深く甘くなり、激しくなり、やがて狂おしさを増していった。 静かな月の湯殿に、2人の熱い息遣いだけが満ちていく。やがて2人のシルエットはぴったりと重なりひとつに溶けた。 冷えた身体を湯に沈め、充分に温もると、暁は石の腰掛けの上に雅紀を座らせた。雅紀は激しいキスだけですっかり蕩けて、ぽやんとした顔で小首を傾げている。 「足、広げて。かかと、ここに乗せてみな」 言いながら雅紀の両足首を掴み、脅かさないようにゆっくり開いて、石にかかとをあげさせた。 「……っっやぁ…っ」 大股開きのあられもない格好に、雅紀は羞恥に真っ赤になって、慌てて手で前を隠そうともがく。 「おーい。暴れない。頭打っちまうからな」 暁はすかさず、雅紀の股の間に顔を埋めて、後ろにひっくり返らないように雅紀の腰を支えながら、ぱくっと雅紀のものを咥えた。 「あっ~うん…っ」 雅紀はひと声大きく鳴いて、びくっと跳ね、仰け反って両手を後ろに着く。 熱い粘膜に包まれて、熱が一気にあがる。じっとしていられない強烈な快感が押し寄せてきて、声を出すどころか息も出来ない。 夕べの暁の初めての口淫は、雅紀がびっくりして泣き出すわ、暁も要領が分からずおっかなびっくりだわでバタバタだったが、さすが器用な暁だ。 今日は自信たっぷりに、雅紀のものにねっとりと舌を絡め、敏感な括れ部分を唇でゆるゆると扱いてくる。 雅紀ははくはく息をしながら身体をくねらせた。 ふいに暁が口を放し、頭の上のタオルを雅紀の腰と石の間に差し入れた。石に擦れて雅紀の肌に傷がつくのを防ぐ為だろう。 とろんとした顔で暁を見下ろす雅紀に、暁は微笑んで 「イきたくなったら、我慢しないで、イけよ。おまえのイった顔、エロくて可愛くて、俺、大好きだからさ」 暁の優しい気遣いとその言葉だけで、感極まってイってしまいそうだ。 再び、雅紀のペニスが熱い口腔に包まれる。 「あっはぁっ……あうっ……んっ、んーぅ」 今度は声を堪らえるのも忘れて、雅紀は泣きながら喘ぎ、びくびくと跳ねた。気持ちよくてドロドロに溶けてしまいそうだ。手を伸ばして暁の頭にすがりつくと、暁の唇の動きが一層激しくなった。 「あっんー……っいいっいっ……ぃ……あ、あき、らさっいいっいっく……いくっ……あ、だっめぇ~いっちゃ……ああーーっ」 我慢する余裕もなく、高波にさらわれるように急激に絶頂に達して、雅紀は熱い飛沫を暁の口内に吐き出した。 頭の中が真っ白になる。身体が宙に浮きあがって、月夜に溶けていくような気がした。 「雅紀。おい。雅紀っ」 うっすらと目を開けると、暁がちょっと泣きそうな顔をしていて…。 「あきぃらぁ……さ…」 なんだか呂律がまわらない。舌足らずに暁の名を呼ぶと、暁の顔がくしゃっと歪んだ。 「……っ。目、覚めたかっ。おまえ、呼んでも揺すっても全然っ起きねえし。まじ、焦った」 ぼんやりと目だけで辺りを見回すと、いつのまにか和室にいた。どうやら座布団を枕に寝かされているらしい。 「……暁……さん…」 「なんだ?!頭痛いか?!吐き気とかするか?!」 必死の形相で顔をのぞきこんでくる暁に、雅紀はダルい頭をのろのろと動かして首をふり 「……お、れ、天国……イっちゃった……みたい…」 呟いて恥ずかしそうに微笑むと、暁の顔がふにゃんと情けなくなり、がばっと覆いかぶさってきて抱きすくめられた。 「つまり、のぼせたんだな。イったのとダブルで」 冷たい水で浸したタオルを、絞って額に乗せてくれる。 「そう……みたい……。ごめんなさい…」 「ばーか。おまえが謝るこっちゃねえよ。分かってて調子に乗った俺が悪いんだからな」 暁は雅紀のまだ赤い頬を指先で撫でて 「ほんとに気持ち悪くないか?頭痛いとかは?」 「大丈夫。ちょっとぼ~っとしてるだけ。そんな顔、しないで」 雅紀はそろそろと手を伸ばすと、心配そうな暁の頬を撫で返した。 「気持ち……良かった……から……すごく」  

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