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春月夜5※
暁のペニスに押し出されるようにしてのぼりつめた。解放された前から、熱い飛沫が迸り落ちる。
「ぁ……ぁ…ぁ…」
断続的に痙攣しながら、射精は長く続いた。びゅくっと白濁を吐き出す度に、暁の硬いペニスを自分の中が締め付けているのが分かる。
暁は持ってかれそうな衝動をこらえながら、クローゼットの扉にある姿見を見つめた。後背位では見ることの出来ない、雅紀の綺麗なイキ顔がそこに映っている。
せつなげに眉を寄せ、うっすらと唇を開き、焦点の合わない瞳で、悦びを享受している雅紀。
エロティックで妖しい色香なのに、どこか無垢で無防備で儚げで…。
……やべ。見てるとイっちまいそう……。
暁は腰を掴む手を放し、雅紀の両脇に腕を入れて上半身を抱き起こした。暁のものが中でぐりゅんと角度を変えたのだろう。ああっんっとひと声鳴いて身悶えしながら、ぱたたっと白濁を吹き零す。
「……やらしい、な……雅紀……いっぱい、出てるぜ」
両足を広げ、下から暁の太い楔を打ち込まれている雅紀は、ぁっぁっと喘ぎながら仰け反って身をよじっている。暁は雅紀の両手を掴んだまま、下からくいくいと突き上げた。
「あっはぁ……っだっめぇ……うごか、さ……なっでぇっ」
切羽詰った声で雅紀が伸ばした手を握り
「な。俺のおっきいの、おまえん中、入ってるぜ。次はさ、どうして欲しい?」
ゆるゆると突き上げながら囁く。雅紀は暁の手をぎゅっと握り返し、無言で俯いて首をふるふるする。
「動いちゃ、だめか?俺の、かき回したいってさ、おまえん中」
雅紀はのろのろと顔をあげ、囁く暁の方を振り返る。涙で潤んだ目が暁を見つめた。
「ゆっくり…」
「ん。ゆっくりな。わかった。んじゃさ、両足踏ん張って、あそこ見てみ」
雅紀は足を踏ん張りながら、暁の視線を辿る。そこにはしどけない格好で、暁のものをくわえ込んでいる自分の姿が映っていて…
「…っ……やっっ…」
「な。ちゃんと繋がってるだろ」
暁は再び腰を掴んで雅紀の身体をちょっと浮かすと、羞恥に真っ赤になって身をよじる雅紀を、下からゆっくり突き上げ始めた。
「…っあ……っあん……っ…ぁあん」
イったばかりの敏感な中を、暁の硬い肉棒がじわじわ擦りあげる。そこから新たな熱が生まれ、甘い痺れが拡がっていく。
「……っいいぜ。おまえん中……気持ちいい」
「ああん……あっ。あっ……んあん」
最初はもどかしいほどゆっくりだった動きが、雅紀が身体を上下するのも加わって、じょじょに激しくなっていく。繋がった場所がグチュグチュと音をたてた。暁は腰を掴む手に力をこめ、雅紀の弱い部分を集中的に攻め続けた。力を失っていた雅紀のペニスがまた勃ちあがり、先走りを溢れさせている。
「ま、さき……っイくぜっ今度は……一緒に…っ」
「あうっあーっあ、きらさっ……あうっあ、あ、イくぅっいっちゃ、あ、あ、あーっ」
ぐいぐいと激しく前立腺を刺激され、一気に絶頂まで追い上げられた。雅紀が耐えきれずにまたのぼりつめたのと同時に、暁も欲情を解き放つ。
目眩のしそうな快感に、暁は出そうになる呻きを押し殺し、雅紀を後ろからぎゅうっと抱き締めて、熱い迸りを最後の一滴まで注ぎ込んだ。
「ご飯ものあんま食ってないから、案外腹減るの早いよな」
「うん。おにぎりにしてもらって正解。これ、すっごく美味しいっ」
むふむふ微笑んで、炊き込みご飯のおにぎりを頬張る雅紀の顔は、ひどく幸せそうだ。暁はつられて微笑むと、綺麗な三角おにぎりにかじりついた。
「うんっ美味いっ」
雅紀は茶器でお茶を入れ、湯飲みに注いで、暁に差し出すと
「露天風呂、ちょっとしか入れなかったな…」
「明日の朝また入るぜ。朝の光浴びて風呂とか、めちゃめちゃ贅沢だろ」
雅紀は再びおにぎりにかじりつきかけて固まり、ちろっと暁を睨む。
「なんだよ。その顔」
「一緒には入らないから」
「は?なんでだよ。別々に入るなんてつまんねえじゃん」
「だって…」
先ほどの露天風呂での暁を思い出したんだろう。雅紀の顔がほんのり染まる。暁はにやりとして
「雅紀くんはエッチだな~。何想像してんの?風呂入るだけだぜ~」
からかわれて雅紀はますます赤くなり、ぷくんと頬をふくらませると
「や、エッチなのは暁さんだし。じゃ、風呂入るだけ、ですよ」
「いや。おまえが期待してんなら、応えちゃうけど?」
「……してないからっ」
先に眠りについた雅紀の顔を、暁は傍らでしばらく見つめていた。雅紀は満ち足りた穏やかな表情で、すぴすぴと可愛い寝息をたてている。
目が覚めたら、朝の露天風呂で雅紀をからかって、朝食をゆっくり堪能したら、カメラを持ってホテル周辺の景色の綺麗な場所を散策しよう。
藤堂薫との約束は午後2時。秋音の親友坂本との約束は午後7時だ。
暁は雅紀の柔らかい髪をそっと撫で、額に口づけると、雅紀の横で目を閉じた。
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