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特別番外編『にゃんにゃんにゃんの日』後日談1
「……で?こんなとこに俺を呼び出して何の用さ」
若干苛立ったような祥悟の声に、雅紀はきゅっと首を竦めて秋音の後ろに隠れた。
秋音は無表情で腕を組み、祥悟を見下ろして
「電話で言っただろう?今度ゆっくり会って話をしようと」
祥悟はソファーにふんぞり返り、形の良い長い脚をこれ見よがしに組んでいた。背もたれに両腕を広げて、秋音の背に隠れている雅紀をちろっと見る。恐る恐るこちらを見ている雅紀と目が合うと、艶然と微笑んでみせた。雅紀はびっくりしたように目を見開き、うろうろと視線を彷徨わせている。
……産まれたての仔猫かってーの。なんでそんなにキョドってるわけさ?
「んー。そういやそんなこと、言ってたっけ。でもそれって1ヶ月も前のことだよねぇ?」
秋音に答えながら、目でさりげなく雅紀を威嚇している祥悟の不遜な態度に、秋音は大きなため息をついた。
再三の呼び出しにようやく応じて、マンションまでやって来た祥悟は、ドアを開けた途端、むすっとした顔をして、仕方なく来てやったけど?というオーラを全身から立ち上らせていた。
呼び出された理由には、絶対に心当たりがあるはずだ。
まったく悪びれない様子の祥悟に、自分でちゃんと文句言ってやります!っとぷりぷりしていた雅紀は、すっかり最初の勢いを失っておどおどしている。
……まあ、この仔猫みたいな素直な雅紀が、ひねた祥悟くんに太刀打ち出来るとは、最初から思っていないが……。
「何の用件なのか、君は分かっているはずだよな」
感情を押し殺したその声に、祥悟はちょっと怪訝な顔をして、雅紀から視線を秋音に移した。
秋音は感情を出さないようにしながら、祥悟の艶めいた目を睨み返す。
実は、暁には、今日の祥悟くんとの一騎打ちについて、さんざん反対されていた。
『あいつは下手に反応するとさ、獲物見つけた猫みたいに、もっとひねくれた攻撃してくるやつなんだぜ?いいから放っておけって。そのうち暇見つけて俺がガツンと反撃してやるからさ』
暁の意見を秋音は黙殺した。秋音があの夜、エロモードの雅紀に振り回された大元の原因は祥悟の悪戯だが、秋音のSOSを無視して、傍観者を決め込んでいた暁もほぼ同罪だ。
「贈り物のチョコレートに怪しげな薬を仕込むっていうのは、悪戯にしてもやり過ぎだと思わないか?」
秋音の静かな声に、祥悟は首を竦めて
「商品名、ラブチョコレート。俺、言ったよね?漢方成分入ってる市販品だって。俺が怪しい薬仕込んだわけじゃないよ。温感タイプのローションとかとおんなじ。ただの性感グッズじゃん。愛し合う2人にいつもとちょっと違う素敵な夜をプレゼントってだけ。暁くん、君さ、ちょっと大袈裟過ぎない?前とキャラ、違う気がするんだけどなぁ。俺の思い過ごし?」
言いながら、祥悟の目がきらきらし始めた。どうやら暁の言う通り、祥悟は次の獲物を見つけ出したらしい。ひねてはいるが、恐ろしく頭の回転が良くて勘が鋭い男だ。
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