188 / 606

つきがみていた5※

暁の愚息はまだ元気いっぱいで、歩くのに邪魔なくらいだったが、雅紀を満足させられたなら、それでよしとしよう。 暁は妙に満たされた気分で、ソファーにどさっと腰をおろし、テーブルの上の灰皿を引き寄せた。 煙草を咥え、マッチで火をつける。 それにしても、さっきの雅紀は異常に可愛かった。 あの潤んだ上目遣いでおねだりされたら、どんな願いでも叶えてやりたくなりそうだ。 「あきら……さん……もう、しないの……?」 ……そうそう、こんな風におねだりされちまったら、いくらでも……って……え? 「んあ?」 うっかり妄想に入りこみかけて、反応が遅れた。いつの間にかベッドからおりた雅紀が、すぐ側に立ち、暁の顔をのぞきこんでいた。 「もう……おしまい?」 念を押されて、暁はポロっと落としそうになった煙草を慌てて灰皿に押しつけ 「や。だっておまえ、イッちゃってさ、くたーってしてるから、もう疲れちまったかなーって」 雅紀はちょっと拗ねたような顔で 「暁さん……まだ、元気…」 雅紀の指さす先には、若干項垂れ始めた愚息の姿。 「や、俺はいいんだよ。おまえ気持ちよかったんなら、もう満足……って、おい」 雅紀は床にぺたんと座ると、暁のものを手で握った。そのままゆるゆると扱き始める。 「おれん中、気持ちよく、ない?」 「…っんな、わけ、ねえだろ。すげっいいよ」 「じゃ、もっと、しよ?」 すぐに完勃ちした愚息に、雅紀は満足そうな顔をして、暁にのしかかってきた。ソファーに座る暁の身体を跨いでしゃがむと、右手で自分の蕾を開いて、暁のペニスの上に腰をおろしていく。 「っく…っ」 「あっん…」 ぐちゅっと音がして、まだ柔らかい雅紀の中に、暁のものが飲み込まれていく。 「んっふ…っんっ。んぅ……んっく……んん」 雅紀は手の甲で口を押さえながら、腰をくねらせ、少しずつ奥まで咥えていく。完全に主導権を握られた暁は、熱い息を吐きながら、雅紀の中の感触をじっくり味わっていた。 ……ああ。やっべ。気持ちいいっ。しかも雅紀、どエロモード全開だろ…っ 向かい合わせで暁を跨いで、ソファーの上にしゃがむ雅紀は、ものすごく色っぽい顔をしていて、せつなげに眉を寄せ、根元まで咥えこむと、腰を上下に揺らし始めた。 雅紀の熱い肉壁が、きゅうきゅうしながら、暁のものを扱いている。視覚的にも体感的にも、強烈過ぎてくらくらする。 「こらっ、おまえ、エロすぎっ、止まんなく、なるだろっ」 目いっぱい煽られて、暁は唸るようにそう言って、雅紀の唇を自分の唇で塞ぎ、舌を絡めて強く吸う。雅紀は上も下もいっぱいになり、鼻からんーんー声をもらし身をよじった。 中がびくびく痙攣しながら暁のものを締め付ける。たまらず、暁も下から突きあげ始めると、雅紀のびくつきが激しくなった。 「…っいく、ぞっ」 唇を放して暁が叫ぶと、雅紀はぎゅっと抱きついてきた。がんがんに突き上げて、急に動きを止め、雅紀の中に解放した熱を注ぎ込む。雅紀もほぼ同時に、ああっと声をあげて反り返り、暁の腹を濡らした。 頭の芯まで突き抜けるような、強烈な快感だった。暁は最後の一滴まで雅紀の中に注ぎ込むと、雅紀を抱き締めたまま、ソファーの背もたれにドサッともたれかかった。衝撃が敏感な中に響いたのか、雅紀は掠れきって声にならない声をあげて、びくびくっと全身を震わせた。 「なあ。俺らって毎晩エッチしてるよな?っつか、会った日はほぼ毎回だよな。すっげーラブラブじゃね?」 冷蔵庫から出してきたペットボトルの水を、雅紀に渡すと、気だるげにソファーに座っている雅紀の隣に座り直した。雅紀は水を飲んで暁に渡し、満足そうに残りを飲み干す暁を横目に見て 「今、気づいたんだ……。ラブラブっていうよりエロエロだし」 「まーたそういう可愛くないこと言う。エロいおねだりする時は、あ~んなに可愛いのにな」 雅紀の髪を手でぐしゃぐしゃしてから、自分の方へもたれさせた。 「……ね。暁さん」 「んー?なに」 「……坂本先輩が言ってた話……。ひき逃げのこと」 「あー……うん。つか、すげえ話題転換だな。さすがO型」 誤魔化すような暁のちゃちゃを、雅紀は完全に聞き流し 「もし……命、狙われてたとしたら、暁さんは、その相手に心当たり、ないんですか?……坂本先輩は、なんだか心当たりあるっぽいこと、言ってましたよね?」 「そうだな。秋音が誰を疑っていたか、知ってるみたいだったよな」 雅紀は背もたれから身を起こし、暁の顔をじーっと見つめて 「暁さん。誤魔化さないで。暁さんも見当ついてますよね?」 「………」 「俺に話すのは、嫌?」 「嫌じゃねえよ。ただ…」 「俺は心配。だって暁さん、また狙われるかもしれない」 「推測にすぎないぜ。3つの事故は偶然かもしれねえし、もし偶然じゃなくても、俺が疑ってる相手が、本当にそうかはまだ分からねえんだ」

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!