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ひそやかな足音9※
秋音は零れる涙をぐいっと拭ってやり、雅紀のおでこに口づけた。
「おまえが良かったならいい。俺も、すごく気持ち良かった」
繋がったままでぎゅうっと抱き締めてやると、雅紀は余韻でぴくぴく震えた。
「あき、とさん……も……イって…」
「いや。俺はもう満足だ。おまえ疲れただろう」
雅紀はふるふると首をふり、縋るような目で秋音を見て
「ううんっ。秋音さんもイってっ。俺は全然平気っ」
そう言うと秋音の腕の中からもがき出て、必死に腰を揺すり始める。
「……っ。無理、するな」
「気持ち、よく、なって。俺の中で」
ぐちゅぐちゅと音をたてながら、雅紀の中が秋音のものをくわえ込んで蠢く。秋音は眉をぎゅっと寄せ、押し寄せる快感に息を詰めた。さっき既にイく寸前だった怒張が、一気に膨らみを増す。
秋音は大人しくもう一度シーツに身を横たえた。雅紀を満足させてやれれば、心は満たされた。どうしても出さないとおさまりがつかないほど、若くもない。それより…
……暁……おまえも抱けよ。俺達の可愛い恋人を。
雅紀が健気に与えてくれる快感に身をゆだね、秋音は内に眠る自分にそう語りかけ、目を閉じた。
「おまっ。なんつーやらしい格好してんだよー」
秋音のペニスを後ろにくわえこんで、両脚を踏ん張り、必死に腰を振っていた雅紀は、突然の暁の言葉に驚いて動きを止めた。
「……んぁっ……え…っ……暁……さ…?」
「わお。すっげーエロい眺めっ」
きょとんとする雅紀に、暁はにやっと笑って
「秋音に起こされたんだ。おまえを愛してやれってさ」
そう言って片目を瞑ると、がばっと身を起こして雅紀の身体を抱きすくめる。その拍子に中で暁のものがぐりゅんっと角度を変えたのだろう。雅紀は声にならない悲鳴をあげて、暁の頭に縋りついた。
「おっ。わりい。えぐっちまったか?」
暁は雅紀の細い腰を掴んで、少し浮かせると
「おまえん中すげえな。熱くってぐちょぐちょだ。気持ちよすぎて溶けちまいそうだぜ」
「……あっん……暁さん…っ」
暁は顔をあげて、雅紀の潤んだ瞳をじっと見つめた。
「エロ天使、降臨だな。やらしくて超綺麗な顔してるぜ。よぉし。俺がもっと気持ちよくしてやるよ」
暁は雅紀の唇にちゅっとキスすると、腰を掴んだまま下から突き上げ始めた。
「あっああんっ……あー……っま、まってっ。んあっああああん」
浮いた腰をがっしりと両手で固定され、浅い位置にあるしこりを、じっくり暁のもので責められて、雅紀はがくがく震えながら鳴き声をあげた。
「気持ち、いいか?きゅうきゅう締め付けてんじゃん。あっ……やべっ…」
危うくもってかれそうになって、暁は焦って動きを止めた。そのままぎゅうっと雅紀を抱き締めて頬擦りすると
「おまえん中感じるの、超久しぶりっ。あ~……あったけえよなぁ。すっごく安心するぜ…」
しみじみ言う暁の言葉に喜ぶように、雅紀の中がきゅんきゅん収縮した。
「……暁……さん?」
「んー?どした」
「秋音さんに、起こされた……って?」
「……ん。あの伝言くれてからさ、秋音のやつ、俺のこと常に意識してくれてるみたいだな」
「……そう……なんだ」
「ああ。もやもやしてて、眠ってるみたいな状態は変わんねえけどな。さてと、時間がもったいないよな。せっかく秋音が譲ってくれた俺達のラブラブタイムだ。ほれ、足踏ん張ってろよ」
暁はもう一度雅紀の腰をがっしり押さえて浮かせると、腰を大きくグラインドし始めた。
「んっっあぁっ……はぁっあん……あうっんん…っ」
限界まで膨らんだ暁のものが、雅紀の中で縦横無尽に暴れ回る。雅紀はそのまま再び高みに押し上げられて、暁のものが奥で弾ける熱を感じながら、うっとりとのぼりつめた。
「……あのね、暁さん…」
「ん?何だ?」
雅紀は気だるげな様子で、暁の胸に埋めていた顔をあげた。
「秋音さんが、お父さん…桐島さんと仲直りしたんです」
「そっか……。とうとう直接対決したんだな」
「うん。最初は気まずい感じだったけど、桐島さんの思いを、秋音さんがちゃんと受け止めて」
暁は嬉しそうに微笑む雅紀の、まだ火照った頬にキスを落とし
「よかったな。これで秋音はちゃんと前向いて歩けるって訳だ」
「うん……。でも…」
急に浮かない顔になった雅紀に、暁は怪訝な顔になった。
「どした?」
「あのね。暁さんは記憶がなくて、すごい辛い思いしてたでしょ?もじまるのおばさんが持ってた秋音さんの鞄。そこに桐島さん宛のお母さんからの手紙があったんです」
「……手紙……」
「俺、不思議に思って、秋音さんには内緒で、もじまるのおばさんにそっと聞いてみたんです。その鞄、もっと早くに中身を見てたら、暁さんは自分の素性、知ることが出来たんじゃないのかって」
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