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神のお告げ
獣人の国『アレストフォーク王国』
多くの森がある自然豊かな国である。
赤煉瓦の建物が並ぶ獣人の街は近隣国からも人気のあるお洒落な街であった。
今現在国同士の大きな戦争などはなく、平和な状態を維持していた。
しかし、数十年前から出現した“狂獣”が森に出かけた獣人たちを無差別に殺し始めたのだ。
獣人が住む街には森にいる魔物対策で壁に包まれ、狂獣も壁の中に入ってくることは無かった。
しかし、森にしかない薬草や栄養価の高い木の実は数え切れないほどあり、軍隊を率いて討伐に向かうも駆逐する事は叶わなかった。
冬のある日、事件が起こった。
毎年冬には冬眠するのか狂獣の動きは無かったため、兎獣人の親子が壁の外へ出て木の実を採りに行ったのだ。
父親の体調が良くなるようにと栄養価の高い果物を採りに出たのだ。
夕刻帰ってきたのは子供一人で、手には何も持っていなかった。
子供は泣きながら言った。
『狂獣に殺された』
その子供はそのまま倒れ母親を亡くしたショックで高熱を出し、3日間生死を彷徨った。
今日が山場でしょう、と言われた3日目の夜。
少年は突然起き上がり看病していた父親に向かってこう言った。
『狂獣を殺すな。黒き人間が赤眼の獣を連れてこの国を救うだろう』
父親は驚いた。
子供の声とは思えない程低い男の声だった。
少年はそのまま気絶するかのように眠り、次の朝にはまるで熱など無かったかのようにケロリとしていた。
少年に夜中の話を聞いてもキョトンと可愛らしい顔で『知らない』と首を振った。
そして少年は更に驚く事を言う。
夢の中で泣いていたら黒髪の綺麗な人に抱きしめてもらった、と。
顔は見えなかったけど、とても優しくて良い匂いがしたと。
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