14 / 22
第14話
アレストフォーク王国
都市『ジュピターナ』にて、とある会議が行われていた。
「狂獣は、討伐するべきだ!あいつのせいで薬草も果物も採りに行かない。あいつが目覚めてから病気も治らず病人も増える一方だ!俺の妻だって…」
獅子の獣人が声を荒げた。
彼は国の騎士であり、この都市の騎士隊の副隊長でもある。
「落ち着けラモン。倒したい気持ちもわかるし妻が病気で弱っていくのを見て焦る気持ちもイライラする気持ちもわかる。俺の妹だってそうだ。一年前に病気になって、半年前からベットから出ることすらできなくなっている。皆んな同じ状況で、みんな同じ気持ちなんだ。取り敢えず座れよ」
どっしりと構え、獅子の獣人ーラモンに声をかけたのは熊の獣人だった。
ラモンはぐっと歯を食いしばり、椅子に座った。
「倒すつったって、あいつ攻撃効かねぇだろ」
短髪のしなやかな筋肉を纏った黒豹の獣人が言う。
「ジュダ」
熊の獣人は黒豹の獣人ージュダを睨んだ。
「へーへー、すいませんねカムイ隊長」
からりとジュダは笑った。
「しかし、ルドルフ様の御告げでは狂獣は殺してはならないと」
鷹の獣人がくいっと丸眼鏡をあげながら述べる。
「オスカー、それはそうだが病気が広まり、市民が苦しんでいるのも事実であろう?」
カムイは深い溜息をついた。
「それは…」
会議室に重い空気が漂った。
突如、バンッと大きな音と共に扉が開いた。
「隊長!!ついさっき、羊獣人の子供が壁の外に出たようです!」
犬の獣人が息を切らせながら報告した。
「何だと!?」
ガタガタっと立ち上がる。
「その上、なぜか分かりませんが家にあった羊毛を持って行ったとの事です」
「はぁ!?」
会議室が謎に包まれるも、獣人たちは鎧を纏い、武器を持った。
「全隊員に伝えろ!これから羊の子の保護に向かう!狂獣に出会うやもしれん、装備を固めろ!」
カムイの声が轟き、獣人たちは一斉に動き出した。
ともだちにシェアしよう!