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第20話
「それで、なんの薬草だ?」
着替え終わったノアがカルマの隣に腰を下ろす。
「ノ、ノア…」
白いモコモコの服を身に纏ったノアは元々顔が良かったこともあり、格好良さ5倍、可愛さ120倍だった。
(ま、真冬の狼みたい)
使える限りの表情筋を駆使し、にやける口元を全力で抑えた。
「あのね、むらさき色のチクチクした葉っぱなの。パリレオってなまえなの」
ノアは理解したように頷いた。
「傷口用は?」
「きずぐち?」
「お前の足、水で洗って薬を塗ったほうがいい。跡が残ると嫌だろう?」
「あ、俺…僕も教えてほしいな。知らない事ばっかりだし、沢山知ってたらココのお母さんにも、他の人達にも役に立てるかもしれないしね。教えてくれる?」
ココはパアッと表情が明るくなる。
「うん!ココがしってる薬草も、あまいくだものも、おいしいキノコも教えてあげる!」
ノアがココを肩車して動く事となった。
洞窟を潜り、森に出た。
「凄い…」
立ち並ぶ大きな木々。
生い茂る草花。
澄み渡る空気に優しく吹く風。
フワフワと浮く白い毛玉。
「嘘、ケサランパサラン!?」
学園都市では見たことが無く、書物で知った架空の生き物だった。
「何だ、知っているのか?」
「本でしか見たことないけど、凄い…。俺が居た街では居ない生き物だったから…」
「そうか。この世界では人間の方が居ないな。魔物か獣人、妖精ぐらいしか居ない」
「妖精もいるの!?」
「森には居るものだ。今向かっている川にもいる。妖精がいる森や川は神からの恩恵を受けているから、清潔かつ傷や病気の治りも早くなる」
「凄い…」
「だからこの森にも獣人たちが薬草を取りに来ていたんだ。俺のせいで来なくなったがな」
「ノア…」
ノアの瞳が少し陰った。
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