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第21話

薬草や果物、きのこ類を採りながらしばらく歩くと川についた。 澄み渡る川は、キラキラと木漏れ日を浴び輝いていた。 「綺麗…」 学園都市では見ない純粋で、穢れのない川にほぅ…と溜息をついた。 「ココ、足を洗うぞ」 「ぅ、いたいのやだ…」 降ろそうとするノアに半泣きでココはしがみつく。 森の中を話しながら歩くうちに、すっかりノアに懐いたようだった。 「ココ」 「んぅ、いや…」 プルプルと首を振るココに何かが近づいた。 『あらあらァ、足を怪我しちゃったのォ?痛そうねェ?だぁいじょうブ?』 鈴のような声で、小さな人?が言った。 「妖精??」 カルマは驚きのあまり小さな人?をジッと見つめた。 妖精、と言うにはカルマが知っている妖精と少し違った。 背中に透明な羽が付いているイメージだったが付いておらず、人魚みたいな見た目だった。 大きな瞳は深い湖のような澄んだプルシャンブルーで白目はなく、可愛らしい顔立ちだった。 耳の部分にキラキラと輝く鱗みたいなものがが付いていた。 『あらァ?アナタ、私が見えるのォ?』 クスクスと妖精は笑った。 「カルマ?」 「おにーちゃん?」 ノアとココはきょとんとしている。 どうやら2人には見えていないらしい。 ココの誤解は道中で解いた(ずっと女だと思われていたらしい) 「み、える…。ノアは見えないの?」 「見えないな。強い者は姿が見えるが、元々妖精は選ばれたものしか見えない。妖精は選り好みをするからな」 『隠れることも出来るわよォ』 くるくると回りながらカルマの顔の目の前で止まった。 『アタシはそぉねェ、リサとでも呼んでちょおだぁい?可愛い人間のコ』 パチン、と綺麗にウィンクをしてみせた。 「よろしく、リサ。俺はカルマ。そこの川でこの子の足を洗いたいんだけど良いかな?」 『もぉちろんよォ。祝福された貴方なら喜んで歓迎するわァ』 「祝福されている?」 『えぇ、そうよォ?アナタ、とってもミリョクテキ。祝福されたコなんて久し振りだワァ』 クスクスと笑いながらぽちゃん、と川の中に入って行った。 「何だったんだ?」 疑問に思っても後の祭り。 もうそこにはリサの姿は無かった。

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