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桜の時6

ぼくが屋敷の裏口から出ると、来た時とは別の車が停まっていた。 ぼくは迷わずその車に乗り込み、シートにもたれ掛かって何度目か分からない大きなため息をつく。 「よろしいですか?」 運転手さんが困惑気味にこちらを伺っているので、ぼくは大きく頷いた。 しばらくするとエンジン音がして車は走り出す。 「ぼくだってこんな身体になるとは思わなかったよ」 ぼくは自分の胸へ手を置きつつひとりごちる。 お店で色んな趣味趣向の人間の元へ送り込まれたが、今まで身体に変調など起きたことはなかった。 今まではどんなに酷いことをされようと、腫れる事はあっても時間がたてば元通りの貧相な身体に戻った。 今ではどうだろうか胸は微かにだが膨らみはじめ、以前のようなガリガリの身体ではなく少し健康的に肉がついてきた。 食事の改善も大きかったのだろうが、実はそんな身体の変化にぼくは少なからず恐怖を感じている。 「あ、雨…」 ぽつぽつと窓に雨粒が付いている事に気が付く。 雨は次第に強くなり、車の屋根を叩く雨音で車内が支配される。 どうしても雨が降ると足や古傷が傷むので、無意識に足に手をやる。 「桜散っちゃうな…」 だいぶ家に近づいてきた頃、部屋から見えていた桜並木の下を通る。 強い雨に打たれ花弁が地面をピンク色に染めていた。 その光景はなんだかぼくを寂しい気持ちにさせる。 「ではお疲れ様でした」 「ありがとうございましたっ!!」 車がタワーマンションに到着すると地下の駐車場に車が滑り込んでいく。 ぼくは運転手さんにお礼を言うと急いで車を降りて部屋に向かった。 一刻も早くパパの元に帰りたかったからだ。 エレベーターを待つ時間さえもどかしかったが、到着したエレベーターは高層階用なのですぐに部屋の前まで来ることができた。 「ふふふ。脱ぎっぱなし」 ぼくも急いで家を出たので何もしないで出掛けてしまった。 そのためパパが脱いだ洋服が玄関から寝室まで点在している。 ぼくはそれを拾いハンガーにかけるものはかけて、洗うものは洗濯機に放り込んだ。 洗濯は友達の玲ちゃんに教えてもらってぼくでもできるようになった家事の1つだ。 しかもうちの洗濯機は乾燥機能が付いてるのでボタンを押すだけでいいから、ぼくも今着ているものを脱いで洗濯機のスイッチを押した。 「のどかわいちゃった」 喉が少し変だったので、冷蔵庫を開けるべくシンクの前から踏み台を持っていく。 踏み台に乗って冷蔵庫を開けると色とりどりの食材が目に飛び込んでくる。 ぼくはそんな食材達に目もくれずドアポケットに立っていたジュースの缶を取り出して冷蔵庫の扉を閉めた。 パパがたまに持って帰ってくる明らかに贈答品の余りであろう缶のジュースは、もしかしたら博英が押し付けてくるのかもしれないと数時間前の花見会場の様子から推測ができる。 「これ…なんのジュースなんだろ」 今度はシンクの方へ踏み台を移して水切りのラックからグラスを取り出す。 引き出しから缶を開ける為の器具を取り出してプルタブに引っ掻けてそのまま手を上にあげる。 カシュッという音と共に蓋が開いたので今更ながらに何のジュースを開けたのか気になった。 器具を引き出しに戻しつつパッケージを見てみると大きく桃の絵と平仮名でももと大きく書いてある。 「たんさんが入ってる!」 グラスにジュースを注ぐとシュワシュワという音と共にピンク色の液体が缶から出てきた。 いつものジュースと色が違うなぁと思いつつそれを溢さない様に口に運ぶ。 香料なのか桃の香りが鼻から抜けていった。 炭酸飲料と言うことでちびちびと飲んでいると、お腹がポカポカとしてきて自分のお腹を見下ろす。 「むー?」 なんだか頬もアツクなってきたので、ジュースはそのままにパパの所に向かう。 ぼくが寝室に入る頃には、全身が熱くてパパの事ばかりが頭を支配していた。 ベットに乗るとスプリングの軋む音がする。 パパは珍しく下着姿で寝ているのでぼくはそぉと忍び寄る。 「うふふ」 そのまま寝てしまったパパの薄くなったお腹に頬をくっ付ける。 すぅすぅという寝息を聞いていたら、何故か怒りがこみ上げてきた。 「なんでパパは!ぼくをだいてくれないの!!!」 「んっ…」 「だけよぉ!!ぼくパパのベットでしょ!!さっきはやなこと思い出しちゃうし、はいちゃうし、でもパパかっこいいし!!とりあえず抱いてよバカ!!」 パパのお腹に股がり、上下する胸を見ていたら何故か怒りが沸点に達してしまった。 ぼくがパパと暮らすようになってから、仕事で玩具の相手はあるがパパとエッチしたのは再開した時以来全くといっていいほどない。 まぁ、舐めさせてくれる事はあれど挿入なしとは一体何事だ。 ぼくは散々パパのお腹に拳を叩きつけ叫ぶが、全く起きる様子はない。 沢山動いたせいで目の前の景色がぐるぐると回りだした。 ぼくは力尽きるようにパパの胸に沈んで意識を手放した。 + 「あんっ…んぷぅ」 ぼくの意識が息苦しさで浮上する。 口の中がぬるぬるするし、なんだかお腹も気持ちがいい気がする。 「んにゃっ!んー!?」 上手く息が吸えなくて、口の中の物を追い出そうと首を動かす。 しかし苦しさは一向に改善しないので、思いっきりそれを噛んでみた。 それでもまだ苦しい。 「命起きた?」 「ん?」 パパの声でぼくはうっすらと目を開けると目の前にパパの顔がある。 ぼくは状況が掴めなくてぼんやりとしてしまう。 「寝てても膣締まって気持ちよかったけど、起きたらもっと締まるね?」 「なか?」 パパの身体が離れるとぞわぞわとした快感が身体を駆け巡る。 その気持ちよさに自然と身体から力が抜ける。 ぷじゅじゅ…ぐちゅんぐちゅん 「えっ?なにぃ?あっ…ふにゃぅ」 「ごめん命…今日はちょっと手加減できない」 大きな物が入ってきたかと思うと、パパに抱き締められながら激しく攻め立てられる。 膝が顔の横に来るほど身体を折り曲げられ、上から押し潰される様に抽送されるとまた意識が飛びそうになるほど気持ちがいい。 ばちゅんっ、ぶぽぉ 空気を含んだ衝撃音が部屋に響いている。 「んんんっ!!」 「乳首コリコリしてるのに、先っぽはグミみたいにぷにぷにしてる」 「いぎっ!」 パパの大きな手で胸を持ち上げられる様に揉まれながら、乳首を指先で弄ばれる。 中指と親指でクリクリと刺激されたかと思うと人差し指は先端部分を刺激していて、たまに強い力で乳首を引き伸ばされてしまう。 パパはいつもぼくの身体を気づかってくれるのに、今日は容赦なくまるで道具みたいに扱われている。 なんだか昔に戻ったみたいで少し懐かしいし、嬉しくて口元がにやける。 「パパっ!!ぼく…ぼくっ!!」 「命は好きに逝ってていいぞ…」 「うっ…やぁっ!!おなかっ…」 パパのモノはぼくには大きすぎる。 いつもおもちゃで散々焦らされて、意地悪もされるけどパパの余裕は今日はない。 お腹の底から気持ちよさを無理矢理押し込まれているような感覚に身体が大きく揺れる。 「あぅ…」 「はぁー。ごめん命もう出ないわ」 じゅぼんっ どれくらいパパに揺さぶられていただろうか。 もう下半身の感覚が無くお腹がスースーするし太股が勝手に震えているのが分かる。 「あはは。孔開きっぱなしになっちゃったな」 「んんんっ!!」 パパが笑いながら指を動かすと中に出された精液が飛び出してきてシーツを汚している。 それにも身体が大きく揺れて気持ち良さが脳天を駆け抜けた。 「命まだ夜はながいぞぉ?パパと沢山あそぼうな?」 「にゃっ…ひっ!」 雨のせいで空はまだ真っ暗だが、時計は朝の時刻をさしている。 しかし、パパはまだ夜だと思っているのか楽しそうに笑っている。 ぷちゅぷちゅぷちゅっと言う音を立てながら中をかき混ぜられながら、まだまだ終わりそうにない宴にぼくはパパをぼんやり見つめている事しかできなかった。

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