50 / 120
花散らしの雨6
近くのスーパーにやって来ると夕食前と言うこともあり売り場には人がごった返していた。
外は雨が降っているので小さな子供がレインコートや小さな傘を持ってチョコチョコと歩いている。
俺はそれを微笑ましげに見ながら店内へ入っていく。
「何を作るかな…」
フルーツが好きな命の為に入口付近の青果コーナーでリンゴやオレンジ等を次々に籠に放り込んでいく。
夕飯のメニューを何も考えていなかったのでぶらぶらと売り場を見ていると回りからの視線が俺に集まっている気がする。
人より高い身長は何も良いとこなどないと思いながらため息をかみころした。
命が居なくなってすぐに、俺は色々な情報網を使い寝食を忘れて命の事を探した。
しかしそんな生活が長く続く訳もなく、俺は体調を崩し兄の手によって病院に担ぎ込まれた。
「はぁ。手間をかけさせるな」
「博英そう言ってやるな…博光も何か訳があったんだろ?」
病院のベットに横たわる俺に対して怒っている次男の博英を長男の義博がなだめるという不思議な光景が繰り広げられているが、うちではこれが普通だ。
長男である義博はいつも冷静で俺には優しく、次男の博英はいつも何かにつけて小言を言ってくる。
「どうせ博之が何かしでかしたんだろ!」
「…っ!!」
弟の名前を聞いた瞬間、俺の目の前は怒りで真っ赤に染まった。
弟の博之は俺より3つ年下で傷害事件を起こして少年院へ入っていたのたが、出所してきた所で命を連れ去って行ったのだ。
「あいつ…僕の大切なモノを奪っていった」
「博光お前…」
俺がボソボソと呟いた言葉に博英は凄く驚いた顔をした。
その後ろに居る義博も少し驚いた顔をしていることに逆に驚いてしまって久々に兄達の顔をじっくりと見る。
「お前の声…久々に聞いたよ」
「しかも、おどおどしてない普通の喋り方で」
珍しく兄二人のほっと安心したような顔を見た気がした。
子供の頃からお菓子や食べる事が好きだった。
義博兄さんは元々食が細く、よく食べる俺にこっそりと自分の分をわけてくれていた。
俺が沢山食べると喜んでくれる義博兄さんの為に沢山食べていたら、自然と食べる事が好きになっていた。
親父の再婚で弟ができてからは執拗な嫌がらせによるストレスで食べる事でストレスを発散させていた。
食べる量は年々増えていく一方で、そんな事をしていて太らないはずがなかった。
中学に上がると体型を理由に虐めがはじまり、俺は自分に自信がどんどんなくなって現在に至る。
「まずは健康になってから探せばいい」
「俺の仕事も手伝えば手がかりも掴めるかもしれないしな…」
義博兄さんに頭をポンポンと撫でられ、博英兄さんは俺に協力してくれると言ってくれている。
久々に話した兄さんとも自然と話せる様になったのも、きっと命のお陰だと思うと俺の中で命は大きな存在となっていたのだと実感した。
「ほら!そっちに行ったぞ!」
「げほっ!分かったよ!!」
俺は脇腹を押さえつつ走っていた。
博英兄さんの仕事は金融業で債務者から当然返金をしてもらわなければならないのだが、当然返してもらえない場合は身体で支払って貰うのがルールだ。
俺は兄の仕事を手伝うようになってから劇的に痩せた。
そりゃこれだけ走らされたんじゃ体重が落ちない方がおかしいだろうと言うほど連日走らさせられる。
食事は疲れすぎて食べれないと思うのだが、そんなこと許されるはずもなく無理矢理口の中に押し込まれベットに放り込まれる。
そんな毎日を過ごした。
少し余裕が出てきたのはそんな生活が2年ほど続いていたある日。
「何で逃げるまで放置しておくんだよ…」
「そりゃお前…周りの関係断ち切って逃げるんだからそれを捕まえりゃ足がつかないだろうよ?」
俺が不満を漏らしても博英の言うことはもっともだった。
そして捕まえた奴は男だろうと女だろうと容赦しない。
「お前疲れてんだろ?お前今日は見回りがてらリフレッシュしてこい!」
見回りとは、組が統括している風俗店等に視察に行きそこで債権者がきちんと働いているか、店は正常に回っているか等を見て回るのだ。
「あ、若旦那いらっしゃいませ!」
「あぁ…」
俺は視察を終えて最後の店の前にやって来た。
客引きのボーイに誘われて男達が店の中に吸い込まれていく。
俺はボーイに案内されるまま従業員室に入り店の様子を見る。
何処の店でも外装に比べ、中は質素だった。
「そういえば若旦那今日はうちが最後でしょ?」
「そうだ…」
「なら遊んで行きませんか?」
こんな風に接待を受けることもよく有ることだった。
俺は特に男が好きというわけではなかったし、溜まるものは当然溜まるので博英はよく気を利かせて俺を見回りに行かせてくれていた。
女の子の柔らかい胸や身体は触り心地がよく、性欲処理の為に抱くのは良かったが面倒なことも多かった。
俺が管轄している“組”の関係者な事を察知した女達は、既成事実を作り足抜けしようと無理矢理乗っかってきたりと色々してくる。
しかも、太っていた頃に俺を気持ち悪いと罵っていた女達の態度の変化に俺は嫌気がさしていた。
「博光分かってると思うけど、店の商品孕ませるなよ!」
「そんな面倒な事するくらいだったら自分の店の商品使った方がましだよ」
俺はそう思えるほどには色々とあの手この手を使ってなんとか俺と既成事実を作ろうとしてくる女の魔の手にかかりそうになったのだ。
しかしそんな思いをしても、幸いにも見回りのお陰で俺の店の商品を卸す事に成功し、安定した卸し先ができたことには感謝している。
「さっさと帰るか…」
昔の事を思い出しながら店内を回っていると、気がつくと少し買い物かごに重量が出てきている。
適当に野菜を見繕って籠に放り込むと、俺は足早にレジに向かった。
「あのぉ?お一人ですか?良かったらこのあとお時間ありませんかぁ?」
俺は、やっぱり来たなと声の方向を向いた。
そこにはOL風の女がもじもじとして、上目遣いで俺を見ていたが俺はここまでテンプレでくる女が居るのかと変な関心をしていた。
「いえ…結構です!」
俺はミコミコのキャラクターが大きく描かれた買ったものの入ったマイバックを女の目線まで持ち上げると女はマイバックを見た瞬間、嫌な顔をしたので俺は思わずほくそえんだ。
アニメグッツは趣味の延長なのだが、こんな風に人を寄せ付けない効果もあるので俺にとっては一石二鳥だ。
俺の持っているグッツの大半は俺の自作で、絵も自分で描いていている。
たまにそれをイベント等で友人に頼んで売ってもらっているのも密かな趣味だ。
俺はスタスタと足早にその場を後にする。
「そろそろ終わってるだろ…」
スーパーで買ってきた物で適当に料理をして仕事部屋に行くとお子様二人は抱き合ったままハァハァと荒い息を吐きながら放心していた。
俺はリモコンでカメラを止めて二人に近寄っていく。
「二人ともお疲れさま…翔、シャワー浴びておいで。場所は分かる?」
「んっ…」
翔に声をかけるとこくんと頷いたので、頭を撫でて軽く頬にキスをして後ろに入っていたローターを抜いてやる。
そのまま翔はふらふらとした足取りで撮影部屋を出ていった。
完全に薬の影響で心ここにあらずと言った様子だ。
「命偉かったね…お疲れさま」
「うん…しょうちゃんすごかった」
今度は命を抱上げて涙のたまった目許にキスをしてやると、ふにゃっと嬉しそうな笑みを浮かべる。
「パパ…んっ…んにゃっ!!」
「翔の掻き出しておかないとお腹壊すでしょ?」
向い合わせで抱き合っている命の臀をまだ稼働させているカメラに向かって上げさせ、キスをしながら指を一気に2本孔に埋め込み開く。
そうすると、中に詰め込まれていた翔の出した物が勢いよくパシャパシャと音を立ててシーツに落ちる。
3本目の指で中を掻き出してやると、透明な液体を俺のエプロンに飛び散らせ逝っている命の顔は完全に溶けてしまっていた。
乳首もニップルサックは取り外されているのにピンッと立ち上がって自己主張しているのが可愛くて指先で弾いてやると、孔をキュッと収縮させて感じている。
「今日は沢山頑張ったから、ご褒美をあげるよ。何か考えておきなさい」
「うん…パパぁ…」
こんな酷い事をする俺にもなついてくれる命がいとおしくて仕方ない。
俺が再びキスしてやると小さな舌を懸命に動かして俺の唾液を飲み込んでいるのが本当に可愛くて仕方がない。
風呂から帰ってきた翔と入れ替わりで命を綺麗にしてやり、食事をさせる。
二人とも子供の様に食事の最中にうとうとと船を漕ぎだしたので俺達は仲良く3人でそのまま就寝した。
その頃には外からの雨音は止んで、カーテンの隙間からは綺麗な星空が見えていた。
腕のかなにいるお子様2人を見て、久々の穏やかな気持ちに俺は2人をぎゅっと抱き締めた。
ともだちにシェアしよう!