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赤ずきんちゃん危機一髪4
特有の水音の合間に、俺が後ろを弄るぐちゅぐちゅという音がしていた。
俺もゆっくり命としていなかったせいでどんどん下半身に熱が集まってくる。
命が元気な時は流石に毎日相手にはできないが、俺も健全な成人男性なので溜まるものは溜まるので命を使っていた。
だからと言って一人で処理できる状態でもなかったし、命でも処理できなかったので今気を抜くと“狼”へのイライラと、下半身の熱でどうにかなりそうだった。
「しょうちゃ…」
「んっ、んんっ」
「おっ!そうだ」
俺は良いことを思い付いて盛り上がっているお子さま二人から身体を離し、翔の孔に埋めていた指を引き抜く。
指を引き抜いたことでひくひくと物欲しげに収縮している孔に笑みがこぼれた。
翔は本能のままに命に腕を回して抱き込みつつ、前に倒れる。
そんな二人を横目に、俺はベットルームから出て一旦リビングへと移動してきた。
「ふぅ…」
熱をどうにかするために冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し一気に煽ると少し頭が冴えてきた。
リビングのソファーの上にいつもの様に置いてある翔の鞄を勝手に漁りスマホを取り出した。
「ロックもかけてないとは不用心だな。今回は好都合だけど…」
待ち受け画面をスワイプしてすぐに通信アプリを起動させる。
以前のメッセージのやり取りを軽く読み、文章の癖や話の内容を確認した。
「“こんばんは!この前はありがとうございました。急なんですけど、今夜一緒に飲みませんか?”っと…」
俺は躊躇なく翔になりすまし狼にメッセージを送った。
時間的にもそこまで遅い時間では無いので不自然ではないだろう。
ピコン♪
すぐに返事が返って来てニヤニヤとした笑みが押さえきれない。
「“データを送るので、そのビルに来てください。友達に教えてもらったいい感じの店があるんですよ!”と…」
怪しまれない様に場所を指定するとまたすぐに返事が来た。
返事にはいつも使っているのであろうスタンプが貼り付けられており“OK”の文字が点滅していた。
「あ~あ…警戒心ゼロ。よし!仕上げに“ちょっとスマホの電池切れそうなので今から送る電話に連絡してくれませんか?お店のマスターの電話です”」
さぁこれからが本番だ。
俺は先程のやり取りを消去してスマホを鞄に戻す。
家に居るときは基本スウェットかジャージといったラフな格好をしていて、普段だとファッションに目覚めた命にコーディネートされるのがお決まりなのだが肝心の命は今“赤ずきんちゃん”の相手をしている。
このあとの事を考えるとこのままでいいだろうと足取りも軽く寝室に戻った。
「みこと…く、ん…小さくてかわいい」
「しょうちゃ…もっとおなかずぼずぼしてぇ」
少し部屋から出ていただけでお子さま達は随分盛り上がっているようだ。
「はいはい。お子さま達…今はそこまで!」
翔が大きく腰を引いたところで、命を翔から離す。
二人は驚いた顔をするが時間が無いので俺はそれを見て見ぬふりをしてまず命をシーツでくるんで縛り上げる。
「やっ…パパ…ほどいて!おしり切ないよぉ」
「翔ごめんな?後でちゃんと二人で相手してやるからな?」
「パパ!」
命は必死に俺へ主張してくるが、それを無視する。
「パパさ?」
「オナホ取り上げてゴメンな?でも、これから本番だから少し寝てような?」
「え…」
俺は翔の首へ腕を回して頸動脈を押さえた。
一瞬苦しそうな息使いになったが、すぐに身体から力が抜けぐったりしている。
「パパ!」
「大丈夫。気絶させただけだけで、殺してない」
命が脱力した翔を心配して焦って声を張り上げた。
俺は翔にも毛布をかけてくるむと、命と一緒に持上げて家を出る。
「パパ…何処に行くの?」
命は不安そうに俺を見上げて来るが、大人げないと思いつつ相変わらず無視をする。
俺が返事しないことに命も諦めたのか、もぞもぞと居心地悪そうにしている。
「ひろみつ…さん。どこにいくの?」
「狼に赤ずきんちゃんと遊んでるところを見せようと思ってね…」
車にお子さまを積み込んだところで命がもう一度おずおずと聞いてくる。
今度は素直に名前を呼んだので、俺は返事をしてやることにした。
ガチャガチャ
とある雑居ビルの中にある元スナックだった空き店舗がある。
ここは博英の島で俺も仕事でよく駆り出される場所だ。
最近70代のママが辞めて空き店舗になったばかりで立て看板や看板はそのままになっているが、店舗の中は備え付けの物以外は片付いて何もない状態だった。
取り合えず俺はカウンターの前にある丸椅子に腰掛け狼の到着を待っている。
命達は近くの取引先のラブホテルに放り込んできているのでここにいるのは俺一人だ。
ピリリリリリ♪
「さぁ…やっと“悪い狼”のお出ましだ」
仕事に使っているプリペイド式の携帯を開くと狼からの着信を知らせている。
俺は躊躇なく通話ボタンを押した。
「はい」
『スミマセン…こちらに電話する様に言われたんですけどぉ?』
「来てますよ。2階ですのでそのままどうぞ」
俺はジャージのポケットから煙草を取り出すと使い捨てのライターで火をつける。
大きく息を吸い込むと馴染みの味が肺に流れ込んできた。
いよいよ狼が来ると思うだけでニヤニヤが押さえきれない。
カランカラン♪
ドアベルの古風な音がする。
「ど~もこんばんは~」
「やぁ。どーも」
「は?」
意気揚々と空き店舗に入ってきた“狼”こと翔にちょっかいをかけていた学先輩とやらは店の中に何もないことにも、そこに俺が居たことにも驚いている。
「何であんたが居るんだよ…」
「呼び出したのは俺だからな」
学は不機嫌を隠そうともせずこちらを睨んでくる。
しかし俺はそんな学の視線を意に介さず挑発的に煙を吐き出して足を組み直す。
「は?」
「俺は翔に手を出すなってちゃんと忠告したよな」
「ははは。なんの事ですか?俺の自由でしょ?」
俺の言葉に、学は先程と打って変わってニヤニヤと柄の悪い笑みを浮かべている。
「目を離した俺も悪いが、随分舐めた真似をしてくれたね?」
「なに?やろうっての?」
「いや…レベルの低い奴と関わるほど俺も暇じゃないんだ」
「チッ…じゃあ何で俺は呼び出されたわけ?」
学は俺を挑発してくるが、俺もそれに乗るほどバカではない。
俺が全く反応を示さない事に相手は再びイライラとしはじめた。
「ただ“狼”に知らせておこうと思って」
「知らせる?」
俺はゆっくりと椅子から立ち上がって学に近付いていく。
入口付近に居た学の横に立つとぽんっと肩を叩いてやる。
「お前が時間をかけて開発した“赤ずきんちゃん”の身体を今日貰おうと思ってね。映像を送り付けてもよかったんだが、直接反応が見たくなってね」
「ゲス野郎!!」
「お前には言われたくないけど、生憎“赤ずきんちゃん”をホテルでお預けさせてるからもう行かなきゃいけないんだ」
少し屈んで耳元に話しかけると、学は手を強く握りその手が小刻みにブルブルと震えている。
俺は言いたいことだけ言うとさっさと立ち去るふりをした。
「ちょっと待て!翔ちゃんは俺のだぞ」
学が俺の手を掴んできたが、俺はそれを軽く振り払う。
次のに学が腕を振り上げたのが目の端に映ったのを俺は心の中で“かかった”と思いほくそ笑む。
ドスッ
「うぐっ」
俺は振り向き様に学の鳩尾に目掛けて拳を打ち込む。
学の振り上げられていた拳は力なく空を切り身体は床に崩れ落ちた。
「くそ…」
「俺はお前みたいに、何でも上手く行くと思っている奴が一番嫌いなんだよ」
学は腹を押さえ床から俺を睨んでいる。
俺は激しい痛みに学がよく気絶しなかったものだと変に感心していた。
「さぁ狼は“赤ずきんちゃん”が食べられるのを指をくわえてみてるといい」
「ごほっ」
俺は学の腹を蹴りあげ襟首を持って引きずる。
階段に靴が擦れる音がしていたが、俺は気にせず学を下まで引きずって行くと雑居ビルの影に停めてあった車に学を放り込む。
車に乗せた所で学はあえなく意識を手放した様だった。
「さぁ…楽しい時間のはじまりだ」
俺は気持ちも軽やかに車を発信させて、赤ずきんちゃんこと翔と命を待たせているホテルへと車を動かした。
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