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赤ずきんちゃんとお花
もぞもぞと何かが動いているのを感じて、俺はタブレットから目線を外してそちらに目を向けた。
現在、俺の横には命くんが寝ていて何かを探すように手をパタパタと動かしている。
「ん~?」
「命くん起きたの?」
俺はタブレットを横に置いて命くんの背中を撫でる。
命くんはのっそり顔をあげたが、こちらを向いた顔は目もうっすらとしか開いていない。
いつもは長い睫毛に縁取られた茶色のくりっとした瞳が印象的な命くんだが、今はその瞳は瞼で隠されている。
しかも眉間には皺が寄っていて少し不細工になっているのも可愛い。
「パ…パは?」
「パパさんはあっちの部屋に行ったよ」
目を擦りながら起き上がった命くんはパパさんの事をついつい“パパ”と呼んでいる。
2ヶ月前に俺の継母である玲と、命くんの合同誕生日会が行われた。
その後からパパさんは命くんが名前で呼ばないと返事もしなくなってしまったのだ。
目の前で見ていても、命くんがうっかり“パパ”と呼んでも返事はおろか見向きもしない。
随分子供っぽいなとは思うが、あそこまで徹底していると逆に感服してしまう。
「しょうちゃ…」
「どうしたの?」
起き上がった命くんはゆっくりとした動きで俺の膝の上に乗ると胸に顔を埋めコアラの様に抱きついてくる。
パパさんのTシャツをワンピースの様に着ている命くんの白い肩が見えて、俺は思わず目を反らした。
肩には大きな傷跡が何個かあり、そこの部分だけケロイド状になっていて色が変わっている。
普段はどんな時でも肌の極力見えない服を着ている命くんだが、流石に寝るときはラフな格好の様で傷跡が見えてしまっている。
「ドクドクしてる」
俺の胸に顔を埋めている命くんは、俺の心臓の音を聞きながら安心したように大きく息を吐いた。
認めたくはないが、俺は典型的な“ロリコン”というものらしい。
最近ではもう無いが、自分より年下の見た目が女の子みたいな玲が実父の嫁として家に来て暫くはドキドキとしたものだ。
今では性格なども把握してきたので、変わった“あんな生き物”なんだと思う様にしている。
それが最近、男の子である命くんを見ると変な気持ちになる事があって俺は戸惑っていた。
「命くん…また寝ちゃうの?」
「だいじょうぶ」
命くんの手が背中から滑り落ちそうになっているのを感じて問いかけると、眠そうな声が反ってきた。
命くんはほんのり温かく、こっちまでまた眠くなってくる。
背中を再び撫でてやると、のろのろと身体を起こして俺の胸に顎を乗せてこてんと首をかしげた。
その仕草が小動物みたいでとっても可愛く、傍らのタブレットにそぉっと手を伸ばす。
「しょうちゃん…おはよぉ」
「朝もおはようしたよ」
目を擦りながら俺に挨拶をしてくるのがまたおかしくてついつい顔がほころぶ。
パパさんが仕事部屋に行っている間に目を覚ました命くんは、俺にお気に入りだと言う動物図鑑を持ってきて読むように可愛くおねだりしてきた。
それからパパさんとアニメの鑑賞をしている間にまた寝てしまって現在に至る。
「え?」
命くんが中腰になったかと思うと、どんどん顔が近付いてくる。
気が付いた時には唇が合わさり小さな舌が俺の口の中を動き回っていた。
「わわ!!命くん!!」
くちゅ、ちゅっという水音が口の端から聞こえはじめて俺はやっと我に返った。
以前にも命くんが寝ぼけて頬にキスをしてきた事はあったが、こんな濃厚なのは予想しておらず思考が追い付いていない。
「ちょっ!」
「ん?」
また顔を近付けてくるので、俺は慌てて命くんを引き剥がした。
やっと本格的に目を覚ましたのか、とろんとした瞳で俺を見返してくる。
「しょうちゃん…あついの?」
頬が紅潮しているらしく、それを暑いのだと勘違いした命くんが俺の額を手で拭ってくれた。
手をあげた事でブカブカのTシャツがずりあがりほっそりした太股が露になる。
「しょうちゃんおふろはいろ?」
「え?!」
突飛もない話に俺も流石に困惑する。
命くんはのんびり俺の膝から降りたかと思うと、ベットからも降りて部屋を出ていってしまう。
俺はそれを呆然と見ていたのだが、すぐに命くんがパタパタと音を立ててもどってきた。
「しょうちゃん行こう!」
「待って…今起きるから」
俺の手をぐいぐいと引く命くんを落ち着かせて、俺は前屈みになる。
起き上がってすぐの身体の痛みはだいぶ癒えた様で、腰に怠さが残っている程度だ。
実のところ昨日の夜の事は曖昧にしか覚えていない。
荒い息と先輩の声を上書きするようなパパさんの声が耳元でこだましていた。
腹の中を掻き回す熱に浮かされつつ目の前に差し出された物を口に含んだまでは記憶にあるが、額に当たる柔らかくて温かな物と甲高い声を聞きながら薄れていく意識にその先の記憶はほとんど残っていない。
「だいじょうぶ?」
「うん」
ゆっくりとベットから降りると、命くんが下から見上げてくる。
Tシャツの上からほんのり膨らんでいる胸が見えて俺は複雑な気分になりつつ命くんに手を引かれてバスルームに向かう。
バシャバシャバシャ
お風呂場からは水が流れる音がしている。
「んーしょ!!」
命くんは何の躊躇もなくTシャツを脱いで、洗濯機の側に置いてある小さなバケツを持ってバスルームに入っていった。
その小さな背中には服を着ていたお陰で見えていなかった無数の傷跡があった。
それを見た俺は再び言葉を失う。
「しょうちゃん何してるの?」
「あ、うん…ごめん。今行くよ」
微動だにしない俺に気が付いた命くんはくるりと振り返って入り口で待っている。
そんな様子を見てしまえば断ることなど出来るはずもなく俺は急いで洋服を脱いで命くんの後を追った。
「ふ~」
「あひるさん!」
二人で浴槽に浸かると、お湯の温かさに大きな息が漏れた。
大きな浴槽は俺と命くんが入っても全然余裕があるほど大きい。
もしかしたら子供用のプールほどあるのではないかと思っている。
乳白色のお湯のお陰で、お互いの身体がよく見えないのは救いだったが命くんの胸が膨らんでいるのがシルエットで分かり気まずい。
「どうしたの?」
「え!いや…その」
俺がチラチラと命くんの胸を見ているのに気が付いたのか首をかしげている。
しかし、命くんはそんな事気にしていないのかおもちゃのアヒルを俺の方へ押しやった。
それに気が抜けて命くんの方へアヒルを泳がせてやる。
「しょうちゃんも気を付けてないとおっぱいできるよ」
「ん?」
聞き捨てならない言葉に俺の動きが止まる。
「ひろみつさんが何度もするからおっぱい大きくなっちゃったんだよね」
命くんが膝立ちになると、本人が言うようにふっくらとした膨らんだ胸が目の前にあった。
乳首は胸の控えめな膨らみに反して赤く、そのアンバランスさが何とも言えず厭らしかった。
「み、命くん…いいから座ろ?」
「ん?さわる?」
俺は慌てて命くんの肩に手を置いて座るように促すが、俺の意志は全く伝わっていない。
肩に置いた手は、その小さな膨らみに当てられる。
掌にすっぽりと収まる柔らかな膨らみの感触に背中にぞわりとした物が駆け上がった。
「さわるのはじめて?」
「・・・・」
変な動悸を感じつつ向かいにいる命くんの顔を見た。
俺の反応に、今まで見たこともない普段ののんびりとした命くんからは想像できない妖艶な笑みを浮かべている。
「しょうちゃんも気持ちよくなるんだよ?」
「いや…俺は…」
手を引こうにも、俺の手へ重ねている命くんの小さな手を振りほどくことはできなかった。
ザバッ
命くんが立ち上がった音が遠くに感じてぼんやりと命くんの身体を眺める。
パパさんに、命くんと俺は同じ歳なのだと告げられたが未だにそれを信じられないのは“男性”を感じさせないこの身体のせいかもしれない。
白く薄い腹と、あばら骨が浮き出しているのに薄く膨らんだ胸。
手足もすらりと長く、そのくせ局部には毛も生えておらず性器もとても小さい。
「そんなことないよ」
「みこ…と…く…」
命くんが身体を曲げて俺にキスをしてくる。
左手は俺の肩に、右手は乳首をくるくると刺激していた。
「こうやって摘まんだり、くりくりすると凄く気持ちいいでしょ?」
「うぁ…」
言葉の後に乳首を摘ままれたり、先端を指の腹で刺激されるとそんなのおかしいと頭では思っているのに身体は素直に反応してくる。
「しょうちゃん…。しょうちゃんもすっかり“メス”になっちゃったんだね」
命くんの嬉しそうな笑い声に俺は信じられない気持ちで頭がいっぱいになる。
「うわっ!」
「ふふふ。しょうちゃんのコリコリ」
命くんが俺の胸に吸い付いてちゅっちゅと吸い付いてきたのに、腰が跳ねる。
しかもお湯の中でよく見えないが指を輪にされペニスも刺激され始めた。
「命くん…だ…め。やめよ?ね?」
「大丈夫。きもちいいよ?」
「そ、そうじゃなくて!!」
やめさせなきゃ、やめさせなきゃと思っているのだが気持ち良さには勝てなかった。
命くんが手を動かす度に、ちゃぷちゃぷとお湯が揺れる音がしている。
「うわっ!なんで…そんなところ??」
今度は尻に何か当たる。
それが中に入って来るのと同時にお湯が中に入ってきて驚く。
「ぼくの指じゃ足りないよね?」
「え?え?」
命くんは思い出した様に玩具の入ったバケツを引き寄せるとガチャガチャと何かを探しはじめる。
「あ、あった!」
「なに…それ」
バケツの底から取り出したのは、透明な素材でできた変わった形の棒だった。
「これで前立腺ごりごりされると、たくさん出ちゃうんだよぉ。しょうちゃん壁に手をついてー」
「え?は?」
命くんに押しきられる形で立ち上がらさせられ、バスルームの壁に手をついた。
「赤くなっちゃってるね」
「うわ!!」
俺の後ろにいる命くんは俺の尻の肉を左右に割り開くと、孔を観察している様だった。
止めさせようとしたところでぬるりとした物が侵入してきた。
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