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狼は腹の中10

ベットで気絶している学をよそに、着々と機材の搬入が行われていく。 「チッ」 俺は邪魔にならない様に部屋の隅に寄って再び煙草を取り出そうと手を伸ばしたが、無いことを思い出して舌打ちをする。 「博光さんスミマセン…」 「ん?」 「段取りなんですけど」 監督が俺の元にやって来て、今日の撮影の軽い打ち合わせをする。 本来は台本があるのだが、急に決まった話なので台本などはない。 台本と言っても進行内容がざっくりと書かれた冊子なので、別にあっても無くても変わりはないが映像の切り替えのポイントやストーリーがあるか無いか位は決まっている。 「それにしても遅かったな?」 「スミマセン…男優集めに手こずりまして」 俺はイラつきでつい嫌味を言うと監督の男はニッコリと微笑んだ。 ゲイものの男優は中々成り手が少なく、女優に比べるとギャラも安い。 そして、ここの撮影所も所詮“裏もの”を撮影するところだ。 大々的に大手に卸しているわけでもないのでここに居るスタッフ達も普段はうちの島の店で働いている。 しかし、撮影となるとプロの男優位すぐ呼べただろうにと思う。 「そう言えば男優は?」 「別室に待機してもらってますよ」 「ふーん。それより、誰か煙草持ってるやつ居る?」 「あ、ちょっと待ってください?」 俺は興味無さげに返事をすると、煙草を所望した。 イライラが爆発しそうで、腕をトントンと叩く手が止まらない。 命の体調が悪くなってから、尚更煙草が増えたので自粛しなくてはと思うのだが中々難しいのだ。 監督はウエストポーチから煙草を数種類取り出し、俺に手渡す。 どれも未開封なのを見ると、演者の為に用意しているのかもしれない。 監督と言ってもまだ若そうに見えるし、この業界も大変なんだなと思う。 「悪いな」 「あっ、ありがとうございます。それでどうしますか?」 「今回は初物だが、ちょっとおいたが過ぎた奴だ。遠慮なく頼む」 俺はスラックスのポケットに入っていた小銭を監督の手に乗せて、代わりに適当な煙草を手に取る。 どうしてもカードでの買い物が多いので、小銭を手近なポケットに入れてしまう。 出し忘れたものを渡したに過ぎないが監督は俺がそんな事するとは思っていなかった様で一瞬だが驚いた顔をした。 俺も一応美世の人間だ。 仁と義の世界で、礼節を重んじるのは当然の事だろう。 まぁこれくらいは仁義と言うより、俺の部下じゃ無いにしても自分より立場が下の者にただで物を貰うのは気が引けたのだ。 「分かりました!それでは、あのままで進めますね」 「来るのが遅かったから洗浄とか準備はしておいた」 俺は煙草の箱のフィルムを手早く外すと中から一本取り出す。 ライターも無いことに気がついたが、監督がスッと使い捨てのライターを差し出してくる。 気が利くなと思いつつそれを受け取り火をつけた。 大きく息を吸い込むと、独特の苦い様な味が舌に広がる。 「それで、男優はどんな奴?」 息を吐き出したところで、少し落ち着いた俺は監督に問いかけた。 再び監督がニッコリと微笑んだ。 ほんの数分一緒に居ただけだが、こいつが気の利く奴だとは思ったが、この笑顔は一体何なのだろうともう一度煙草をくわえ大きく息を吸い込んだ。 「実は、連絡をいただいてから事務所に問い合わせたら資料をメールで送ってくれてちょっと面白いことを思い付きまして」 「ほぉ?」 監督の男が子供がイタズラを思い付いたときの様な顔になる。 これは期待がげきるかもしれないと、また煙草を口許に持っていく。 「セッティング終わりました~」 「なら、そろそろはじめましょうか。博光さんも当然見ていかれますよね?」 「面白そうだからそうするかな…」 丁度他のスタッフから声がかかり、俺と監督でベット回りに集まる。 ライトやカメラなどの本格的な機材と、その下にはコード類が雑然としていた。 他の現場を見たことはないが、かなり本格的な現場ではないだろうか。 「監督!そろそろ男優呼んできますか?」 「博光さんどうします?」 監督が俺に問いかけて来たが、どうするも何もやると言った事はやるのが筋だろう。 だからと言って自分が学を抱くと考えただけでヘドが出そうだ。 俺はゆっくり頷くと、監督は他のスタッフに手で指示を出した。 「それにしても、こいつ起きませんね?」 「むしゃくしゃして…お前達が来る前にちょっと準備をした」 「へぇ。だからこんな格好なんですね」 むしゃくしゃして…なんてありきたりな言い方だったなと思いながら俺は腕を組む。 俺達の話に他のスタッフも興味深々なのか皆の視線が学に集まる。 学は相変わらず足を大きく開いたまま気絶していた。 「男優さん入りまーす!」 部屋に入ってきたスタッフの声にそちらを向くと、5人程の男が立っていた。 お世辞にも格好いいとも、可愛いとも言えない至って普通の男達だ。 監督には悪いが、こんな男優の為に待たされたのかと思うとガッカリ感が顔に出てしまいそうになった。 「いいでしょ?彼ら全員元カレくんなんですよ?」 「ほぉ…それは面白いね」 監督の言葉に驚いたものの、俺は改めて男優として入ってきた学の元彼とやらを観察する。 確かに全員大人しく、寡黙そうなタイプが多い。 学は自分に散々夢中にしたあと、相手がアプローチしてきた所でポイ捨てするようなクズだ。 大人しいノンケのタイプが多いのは頷ける。 「じゃあ、今からカメラ回して?俺が“狼さん”を叩き起こしてやるから」 「え…」 俺は呆気に取られている監督を無視して、ベットの学に近付く。 「ん゛ぅっ!」 そこで、俺は火がついたままの煙草を学の太股の内側で揉み消す。 ジュゥッと肉が焼ける音がして、学が飛び起きる。 何が起こったのか理解できてない学は目を白黒させ、辺りの様子を確認するように目を動かしていた。 そこでようやく俺と目が合い、俺はわざとニッコリと微笑んでやる。 「おはよう“狼”さん。よく寝られた?」 「・・・・」 「“狼”さんにお客さんが来てくれたよ」 俺を呆然と見ている学に問いかけるが、恐怖からか返事がない。 しかし、俺はそんな事はどうでも良くてスタッフに目配せをする。 スタッフは頷くと、俺が学に根性焼きをしたことに驚いて固まっている元彼達をフレームインさせた。 「感動の再会だよね~?」 俺が学の前から退くと、状況が理解できたのか学の目が大きく見開かれる。 そりゃ誰だって裸で縛り上げられ気絶して目覚めたらカメラに囲まれていて、目の前にポイ捨てした元彼が居たらさぞ驚くだろう。 これは学の反応を見たらもっと面白いかもしれないと口枷を外してやることにした。 「ゲホッゲホッ!!」 「学くん…」 口枷を外した所で、意を決して1人近付いてきた。 これで俺のお遊びは終了。 後は元彼くん達に任せればいいだろうとフレームアウトして監督の横に立った。 「た、すけ…て…」 「学くんなんでそんな事言うの!」 学が助けを求めて放った言葉で、残りの元彼達の怒りに火がついた様だ。 自分の身体を散々弄ばれ、その弄んだ張本人に助けを求められても助けないだろう。 しかも圧倒的に自分が優位なら尚更だ。 「ちんちん…真っ赤だね」 「やめっ!触んな!!」 「さっき皆で話してたんだ」 「学くんに会ったら…皆で復讐しようねって」 俺は学と元彼達の会話を聞きつつ、内心そうだろうなと独りごちる。 集団心理とは恐ろしいもので、こんな特殊な環境で同じ経験をした人間が集まれば被害者である元彼くん達の団結力も深まるだろう。 「面白くなって来ましたね…根性焼きした時は驚きましたけど」 「俺は元彼達をかき集めたあんたに驚きだよ…」 ベットの上では元彼達による学への復讐が始まった。 監督はそれに気を良くして俺に小声で話しかけてきたので、俺もぼそぼそと話す。 「やだ!やめろ!!」 「学くん…俺がそう言ってもやめてくれなかったよね?」 「ぎっ!!」 元彼の1人が学の前に立ち、バスローブを脱いだ。 いきり立ったぺニスを学の孔に宛がうと慣らしもせずに腰を進める。 少し離れた位置からでもブチブチっと何かが切れる音が聞こえてきた。 男の身体は女と違って受け入れるためにはできていないから、慣らしもせずに挿入されれば無理が生じる。 学は身体の内側から襲ってくる痛みに口をパクパクとしているだけだった。 「この乳首にピアスしてるの…エッチですよねぇ」 「あぎっ!!」 今度は別の男が学の乳首を摘まんだ。 皮膚が薄くなり神経が剥き出しになっているので、少しの刺激でも辛いだろう。 乳首のピアスをぐいっと上に引かれ首が大きく反る。 それから元彼達の復讐は容赦がなかった。 「い…たい…やめ…んぐっ!」 学へ強制的に挿入して切れた孔からは血がシーツに落ちているし、両方の乳首は噛まれたりつねられたりしている。 拘束は早々に解かれたが抵抗すると殴られ、イラマチオによって喉は塞がれていた。 完全なレイプが目の前で繰り広げれているが、スタッフ誰も止めに入ろうとはしない。 「学くんの腟…皆の精液と血でぬるぬる」 「ひっ!」 元彼達の復讐という名のレイプで学は心身ともにボロボロだった。 一人がカメラに向かって学の孔の中を見せ付けるように広げると、中から精液と血が混ざったピンク色の液体がシーツに落ちる。 学のぺニスは終始痛みのせいか一度たりとも勃起することはなかった。 「はい!おつかれさまでーす!」 監督のストップの声で元彼達は我に返った様だったが、誰一人として学を心配する者はおらずスタッフに連れられ部屋を出ていった。 学といえば、身体中に殴られたりした青アザや内出血の痕があり精液と血で汚れたシーツの上に放心情態で転がっている。 因果応報とはこういうことだろう。

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