112 / 120
一人でできます!3
命が大きなあくびをすると、小さな歯が見える。
よく、猫のあくびの最中に口の中に指を入れるという動画などを見るがついつい俺もやりたくなってしまった。
あくびをした命の口に指を横向きに差し込む。
「あぐっ!」
命は口を閉じられない事に驚いた様にパチッと目を見開いた。
今更目が覚めたのだろう。
目をパチパチさせながら不思議そうに俺を見上げてくる。
更にイタズラ心が疼いて指をぐいっと押し上げると、小さな舌が見えた。
命はどうしたものかと少し困った様子で手を胸のところで握ったままになっている。
このまま舌を掴んで引き出してもいいかもしれないなんて考えていると、人の気配がしたのですっと手を引く。
「おまたせしましたー」
俺が手を引いてすぐに盆の上に注文した物を乗せて店員がやって来た。
テーブルに皿を乗せると、今度は空いた皿を盆へ乗せていく。
命がぼんやりとそれを見ていると、命が起きたことに気が付いた店員がにっこりと微笑んだ。
「お目覚めかな?」
「・・・」
「見ない間に大きくなったね!沢山寝て、食べて大きくなるんだよ!」
命を覗きこん話しかけるが、当の命はぽかんとしていて返事をしない。
しかし、店員はそんなこと気にしない様で命に笑いかけて少し話すと食器を持ってキッチンの方へ消えて行った。
そんな命は、来た物をぼんやりと眺めている。
「命?」
「うん」
俺は注文した食べ物を命の前に押し出し、食べるように促すとこくりと頷いて小さめのフォークを手に取った。
賽の目に切られたキウイをフォークに刺してゆっくりと口に運ぶ。
命がのんびりとサラダを食べている間に、俺は残りの食事を終えて食後に頼んでおいた珈琲を飲む。
ここのカフェは珈琲などの飲み物にもこだわっていて産地なども選べる。
今日は少し酸味があるのが飲みたくてメニューに書いてあった説明を読んで選んだ。
「おなかいっぱいになった」
「もうちょっと食べなさい。最近また食べる量減ってるだろ?」
「やだ…」
皿に大半フルーツが残った状態で命がフォークを机に置いてアイスティーを飲みはじめる。
全然食べてないので、せめてもう少し食べるように言うが首を降って拒否されてしまった。
最近更に食べる量が減っている上に、俺の暴走が相まって薄い身体が益々薄くなってきている。
これは何かもう少しカロリーがあるものを玲ちゃんにお願いしなければならないだろうか。
「ちゃんと食べないと元気になれないぞ」
「むぅ。ぼくはげんきだもん」
「もう少し肉つけないと旨くないだろう」
「ふふふ。ひろみつさんおおかみさんみたいだね」
命がやっと笑ったので、頭を撫でてやる。
それに気が付いた俺の手に頭を擦り付けてくるのが、やはり猫っぽい。
命の為に子供の代わりにペットを飼ってもいいかなとも思ったが、命ともう少し二人でゆっくりしたいものだ。
なんやかんや言ったって、命と再会してからまだ1年位しか経っていないからな。
「ひろみつさん?」
「そうだな。頑張って料理を食べられたら、ご褒美をやろう!」
「ほんと!!」
「本当だぞ。何でもいいぞ?」
色々と考えていたからか手が止まってしまった。
命は少し不安そうに俺を見上げたので、料理を食べない事を叱られるのかと思ったのかもしれない。
本当は違う事を考えていたのだが、言う必要もないので小さい子供にするみたいに褒美を目の前にぶら下げてみた。
まぁ要求は目に見えているが、命の体調も心配なのでたまには要求を飲んでやらなければいけないだろう。
「じゃあたべる!」
「サラダだけじゃ駄目だぞ?」
「うん!がんばる!」
俺の言葉に俄然やる気を出した命は大きく頷いた。
俺は店員を呼び、命用の食事を注文する。
ついでに自分の飲み物の追加も注文している間に、命はやる気を出して小さな口をモグモグさせていた。
「ありがとうございました~」
きちんと命に食事をさせ、俺も腹が満たされ満足していると命が上機嫌で鼻唄を歌っている。
俺達は店員に見送られつつカフェを後にして、呼んでいたタクシーにのりこむ。
今度はきちんと俺から離れて隣に座ったので、きちんとシートベルトをして帰路につく。
「ひろみつさん!ごほうびちょうだい?」
「何がいいんだ?」
「うんとねぇ。えへへ。えっとねぇ」
家についてリビングのソファーに命を降ろしたところで、早速おねだりの言葉が飛んできた。
まぁ大体は命が欲しがりそうと言うか、して欲しいことは予想ができている。
命は嬉しさからかもじもじと指を擦り合わせているが、どうせして欲しいのは挿入だろうなと思ったので鞄をおろしつつ貰ってきた書類を片付けながら命の言葉を待った。
「あのね…」
「挿入は駄目だぞ?」
「え…なんで?」
「はぁ。朝も言ったけど、後ろが治るまでは本当は指もダメなんだぞ?」
「でも、なんでもいいっていったよ!!」
命の言葉を遮る様に、言いたかったであろう事を禁止にする。
命は落胆とも、絶望とも何とも言えない表情で俺を見上げてきた。
みるみる目には涙が浮かびはじめ今にもこぼれ落ちそうになっているが、俺は表情が豊かになったなとのんきに思うだけだった。
「まぁ、何でも聞いてやるって言った手前聞いてやりたいが…流石にこればっかりは治ってからじゃないとダメだな」
「むぅ!ひろみつさんのウソつき!!」
「弄ってやるくらいはいつも通りできるぞ?」
「じぶんでできるもん!!」
命は頬を膨らませて怒り始める。
頬を膨らませるのがとてもあざといなと思ってしまった。
しかし、命は気が付いていない様だがつい勢いで一人ですると宣言してしまったことを気が付いて居るのだろうか。
それも面白いなと思ったので、訂正をしないまま見守ることにした。
「いいもん!」
命が怒りながらぴょんとソファから降りると走って何処かへ消えていく。
走るといってもとっても遅いので、リビングの入口で少しもたついているのを眺めながら俺も気付かれない様に後を追った。
命はバスルームに向かい、服を脱ぎ始める。
俺はそれを扉の隙間からこっそり見ていた。
もちろん小さいビデオカメラを片手に。
「ひろみつさんなんでだいてくれないんだろう?ぼくにみりょくがないからかな?」
シャツをスポッと脱いだところで、命が首をかしげている。
シャツを洗濯機に放り込むと自分の腹をペタペタ触りだす。
栄養が足りていないせいかあばら骨が浮いている。
しかし、ホルモンの関係なのか尻と胸にはうっすらと肉がついている。
「むう。でも、これはゆるしてないんだから!!」
命が今度はスポブラを脱いで自分の胸を寄せる。
肉を寄せたせいで小さな膨らみは立派なおっぱいになってしまっていた。
それが気に入らないらしく命の鼻息が荒くなっている。
ついつい面白くて命の身体をいじくり回した結果が、胸ができてペニスも勃起しない完全な“メス化”だった。
当初から少しずつ膨らむ胸が、嫌と言うより恥ずかしかったらしく事あるごとに命に文句を言われるのだ。
俺的には羞恥心が死んでる命にも羞恥心が残ってたと思うだけでも良かったと思えるのだが、本人には不評で解せぬ。
胸が膨らんでいて恥ずかしいと言いつつ、裸は恥ずかしくないらしいので俺には良く分からない線引きだ。
「どれにしようかなぁ」
一通り自分の体の観察が終わったらしい命は、いつも持って入る玩具が入ったバケツをあさりはじめた。
バケツの中には、オーソドックスな黄色いアヒルやらイルカ等のビニール製の人形が入っている。
しかし、そのしたの方には俺の店で扱っている商品も入ってる。
大人の玩具は俺が定期的に入れ換えを行っていて、命の感想を元に“お道具箱”にも採用をしているのだ。
「うーん。ほそいのとかちいさいのばっかりだ」
命は思案顔で大人の玩具を眺めていた。
右手にはシリコン製のお菓子みたいなピンク色のアナルパールが握られており、左手には小ぶりのアナルプラグが握られている。
俺と引き離されてから、セックスが世界の全てだった命は体に刺激がないと不安になるのでどうしてもそう言った行為が必要になってくる。
なので玩具までは禁止できないので、体に負担がかかりにくい小ぶりな物に総入れ替えしておいたのだ。
命は不満だろうが、こればっかりは妥協するわけにはいかない。
「まぁいいや!」
命は無いものは仕方がないといった感じで右手に持っていた物をバケツに戻すと、左手のアナルプラグを持ったまま浴槽に入っていく。
すぐにシャワーの音が聞こえはじめたので、俺も脱衣所に入る。
そしてうっすら浴室の扉を開けて再び観察をはじめようとするが、ここですりガラス状になっている扉に俺の影が映らない様にしなければ命に俺が覗いているのがバレてしまう。
壁の方へなるべく寄って浴室内を観察すると、命が体を洗っているところだった。
小さな手に泡をつけて腕を洗っている。
「あわあわ~ぶくぶく~♪」
さっきの不機嫌はなんだったのだろうという位に命は機嫌良く鼻唄を歌いはじめている。
風呂を覗いて居ると、某猫型ロボットの主人公みたいだなと思ってしまった。
現在はその描写が無くなってしまってパンチラの描写が増えた印象だ。
そんな事を考えている間に、体を洗い終わった命がシャワーヘッドを交換しはじめている。
俺の予想ではすぐにでも始めるかと思ったが、以外にきちんとしているんだなと感心してしまった。
シャワーヘッドを細いノズルの様な物へ変え、コックを捻るとブシュブシュと水の噴射音が命の小さな鼻唄をかきけしてしまう。
俺は手元のカメラを操作してシャワーノズルをアップにした。
ともだちにシェアしよう!