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第3話
「じゃあいくよー!せーのっ!」
なんて、元気よく四宮が声を上げる。
「ウィーウィッ!シュアメリクリスマスッ!」
「ジングルベールジングルベール!鈴が鳴るっ!」
「キーヨーシ〜こーのよ〜る」
「ストップストップ!」
その瞬間、見事に歌がバラバラで、朝丘さんがすかさず止めに入った。
「え!?プレゼントを回す歌って言ったら、ウィーウィッ!シュアメリクリスマス!だろうが!」
「何言ってんの四宮!ここはジングルベルだろ!?ね、立花くん!」
「あわわわ、僕は聖しこの夜を歌っちゃいました…!ごめんなさい、ごめんなさい…!」
まさかこんなところで躓くなんて思ってもなかったが、結局朝丘さんの案で、赤鼻のトナカイになり仕切り直す。
「てか、矢吹ちゃんと歌ってよね!?」
「はいはい」
歌う気ゼロの矢吹に少し呆れながら、ふと四宮を見ると、寝転がってアクビをしている三島さんに怒っていた。
「悠一くんも歌ってよ!?なに鼻ほじってんの!汚い!」
「あー?うっせえな、はよしろや」
「あーもうティッシュティッシュ!」
まるで恋人通り越して、おかんや…なんて思ったけど、俺は何も言わなかった。
「じゃあ、赤鼻のトナカイで!いきまーす!」
再び四宮の声で、プレゼント交換が始まる。歌に合わせてプレゼントを回していき、歌が終わったところで手を止めた。みんな上手いことバラバラにプレゼントが行き渡ったようで、俺は四宮の、四宮は朝丘さんの、朝丘さんは矢吹の、矢吹は立花くんので、立花くんは三島さんの、そして三島さんは俺のプレゼント。
「四宮の包装、なんかめっちゃキラキラしてるー!」
「キンキラキンでかっけえだろ!」
金色の包装紙をガサガサ取っていくと、中から出てきたのは『昆虫のチョコレートシリーズ』と手書きされた箱に、少し大きめの三匹の昆虫(カマキリ・カブトムシ・アゲハ蝶)の少しリアルなチョコレートが入っていた。
「す、すげー!!なんかキモいけど、すげー!」
「だろ!?俺の自信作!」
「え!?まさかの手作り!?」
驚く事に、それは四宮の手作りだった。その光景を見てた三島さんは心底嫌そうな顔をした後、「俺に当たらなくてよかった」とホッとしていた。
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