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第4話
「お!矢吹のプレゼント、なかなか嬉しい!」
「だろ?結構いいやつだから高かった」
矢吹のプレゼントはモバイルバッテリー。
自分で買おうと思うと、どうしても安めのものを選んでしまうから、確かに高くていいやつは貰うと嬉しいかも…なんて思った。
「藤沢、立花見て!朝丘さんからのプレゼント!」
「え…!?財布!?マジ!?」
「わ、カッコイイ…!」
四宮が貰ったプレゼントは、ブランドのルイ・ヴィ◯ンの財布だった。
「…ん?てかプレゼントって三千円以内では!?」
ブランドものの財布が三千なわけないし、矢吹のも絶対予算オーバーしてると思い、驚きながら朝丘さんを見る。
「あー、上限ないとちびちゃんも立花くんも無理するでしょ?俺らは三年だし、そこそこ貯金してるからさ!」
「お前らは甘えとけばいいんだよ」
ポンポンと矢吹に頭を撫でられ、年上の余裕を見せ付けられた俺は、不覚にもときめいてしまった。
「…藤沢、言っておくけど俺もそれ作るのに予算オーバーしてるし、時間も労力もヤバイくらい使ってるからな」
「う、うん、大丈夫、わかってるよ…」
一個一個が無駄にデカイし、制作時間がヤバそうなのは見たらわかる。俺は高価なものじゃなくてもお菓子で十分満足してるよ、と何故か少し落ち込んでる四宮を慰めた。
「矢吹は何貰ったのー?」
「バスボム」
ほら、と見せてくれたのは、かの有名なバス用品メーカーのバスボム。手のひらサイズの大きな玉が四つ入っていて全部色やデザインが変わっており、どんな入浴剤なのかすごく気になる。
「あ、あの、二つは泡風呂、もう二つは香りがいいものを選びました…!遊び心と、疲労効果に…!」
「へえ、使うのが楽しみだ。ありがとな」
「いえ!喜んでもらえてよかったです!」
珍しく少し微笑んでる矢吹を見て、立花くんは嬉しそうだった。
…矢吹のプレゼント、つまりは俺も一緒に使えるってことだよな?特に泡風呂、楽しみだ…!
「んだコリャ」
「ん?…あっ、それ俺のプレゼント!」
にしし、と笑っていたら、背後から三島さんの声が聞こえ振り向くと、俺が買ったプレゼントを開けて、眉間にシワを寄せていた。
「なんだこの大量の…」
「駄菓子セット!予算ギリギリだった!」
そう、俺が買ったのは、昔懐かしの色々な駄菓子が大量にサンタのブーツに詰め込まれたもの。クリスマスっぽく、尚且つ貰って嬉しいもの!
「おー!三島よかったなー?お前、駄菓子好きじゃん!」
「ぁあ!?別に好きじゃねぇよ!たまに食うだけだし!」
「ふーん?じゃあこのスルメもらっていい?」
「あ!?ダメに決まってんだろ!触んなっ!俺のだ!」
なんて朝丘さんとのやりとりに、素直じゃない三島さんを見て、喜んでもらえて良かったと安心した。
「つか、あれお前が食いたかっただけだろ」
「ちゃんと選んだもーん!」
もし矢吹に当たったら一緒に食べようと思ってた俺の魂胆は、矢吹にバレてたみたいだった。
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