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第5話
「んで?三島のプレゼントはなんだった?」
「あっ、えっと……、その……」
「ん?………うわ」
歯切れの悪い立花くんが持ってる箱を覗き込んだ朝丘さんの表情が険しくなる。
「ないわ、これはないわ三島ァ〜」
「あー?お前らにはピッタリだろ」
ニヤニヤと笑う三島さんが用意したもの…それは、ドン◯ホーテで買ったであろう、ナースやメイドのコスチュームだった。
「たく、もう少し考えてほしいよねー」
「あ、はは…」
「…でも、ナースか…」
「か、かなめ、さん…?」
ないわ、なんて言ったくせに立花くんが持つナース服に、若干満更でもない…というか、期待するような顔をしたのを俺は見た。そして、立花くんもそれを見て、少し顔が引きつっていた。
「フフン、ムッツリめ」
「悠一くんもだけどね!」
「ぁあ?てめぇよりはマシだ」
なんだかんだ、みんなプレゼントを貰って嬉しそう。俺も大きいチョコ貰ったし!
「楽しいね、矢吹!」
「そうだな」
それから、頼んだピザやお寿司を食べ、四宮が持ってきたゲームで遊んだりした。
「さて、じゃあそろそろ食べようか?ケーキ!」
「!、食べるー!」
小腹が空いてきた頃、朝丘さんがそう言い、いち早く俺が反応した。プレゼント交換して満足してたけど、ケーキもちゃんと用意されてたんだとうれしくなる。
「矢吹持ってきてよ」
「ぁあ?なんで俺が…」
「俺、リビング行けないからね」
「…はぁ、たく…。伊吹、手伝え」
一瞬、なんで朝丘さん行けないんだ?と思ったが、リビングには猫のイチちゃんがいる事を思い出し、渋々立ち上がる矢吹について行った。
「皿とかフォークは俺が持つから、お前はケーキ持て」
「アイアイサ!」
「落とすなよ」
「落とすわけなかろうて!」
「…それが不安なんだよ」
ウキウキでケーキを持ち、部屋に戻る俺の後ろを、今度は矢吹が付いてくる。部屋の扉を開ける前に、廊下で俺は立ち止まった。
「…?おい、早く入…」
「矢吹、ちょっとお願いがあるんだけど」
振り向いて、矢吹をじっと見る。すると矢吹は「なに」と少し眉間にシワを寄せる。
「ちょっと屈んで」
「あ?」
「内緒話だから!屈んで!身長、俺に合わせて!」
こういう時、自分の身長の低さが嫌になる。
なんで俺はこんなにチビなんだ!
「ぁあ?…んだよ」
若干面倒くさそうに言いながらも、少し屈む矢吹。
「矢吹…」
「だからなん…ンッ」
そんな矢吹を更に自分の方へ引っ張って、唇を合わせた。
けどそれは一瞬で終わり、俺はすぐに手を離し、矢吹と距離を取る。
「えへへ、ちょっとしたくなっただけー」
ヘラっと笑い、ケーキを待つみんながいる部屋へ入った。
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