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第2話

人通りが多い道を練り歩く。 砂色の外套を着た男、太宰治は芥川の手にあった袋を軽々持つと、もう片方の手を芥川の空いた手に合わせ、指を絡めた。 「だ、太宰さん……あの」 「どうかしたのかい?」 気まずそうに顔を歪め、声を小さくあげる。 もしや、手を繋ぐのが嫌だったのか。 顔色を伺ってみるも、その様子は無いように見えた。 「その……魘されていたので……」 どうかしたのですか、と途切れ途切れに言うとまた、怯えたように俯いてしまった。 殴られると思ったのだろうか。 もうそんなことする気もないのに。 「嗚呼……大丈夫だよ、少うし悪夢を見てしまってね」 芥川の方へ向くと苦笑し、横断歩道を渡る。 スーパーで色々買ったものの、何を作ろうか。 そんな事を考えながら目の前を通った黒い猫を見た。 猫は鋭い視線をこちらへ向けると、猫撫で声をあげる。

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