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第3話

芥川君はいつも口数が少ない。 二人で家デェトをしていても、雑誌を読んでいる私に寄りかかり、さりげなく服の裾を掴むばかりだ。 私はそんな芥川君が可愛くて仕様がなく、つい抱き寄せて「どうしたんだい」と言うと芥川君を困らす。 そして、理由という嘘をつくのに必死で顔を赤く染めてしまうところにもまた心を仕留められるのだ。 「芥川君」 にこっと笑い頬に一つ接吻してみると、酷く驚いた様子になる。そして一瞬のうちに頬が緩み、「太宰さん」と微笑した。 嗚呼、なんて愛しいのだろう。 自分を求め、自分に微笑みをかけてくれるこの子がこんなにも愛おしいと思うだなんて、思ってもみなかった。 胸が熱い。どうしようもなくなってしまいそうだ。 こめかみ、頬、唇……と何度も口付けをする。 何が起こったのかを分かっていない芥川は目を見開くと、石のように固まってしまった。 耳を柔く噛み、つうっと耳の筋をなぞるように舐めると、体がビクンと反応をする。 「太宰さん……?あの、昨日もあんなに……」 そう言う芥川の首元には赤い印が残されている。それは、昨夜激しく求め合ったという証拠であった。 「何度も君を求めてはいけないかい?」 儚げに呟くと、直ぐに芥川は太宰の首を抱きしめ、耳元で抱いてください、と恥ずかしそうに言った。 嗚呼、本当に愛らしい。 胸がきゅうっと締め付けられた。

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