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第4話

「だざっ…さ、あ、もぅ……無理、です……」 後ろから抱きつき、背中に口を付ける。芥川の体の事も考え優しく腹に腕をまわし、ゆるゆると腰を動かす。 時折いい所に当たるのか、一際大きい声を上げると白濁とした液を垂らした。 「ん……もう少し、もう少しだけ……」 何回しても物足りなさを感じてしまい、もう何時間も芥川の体を味わっていた。 あの悪夢を見てしまった所為か(いつもそうなのだが)、芥川が欲しくて欲しくてたまらなく、時には体のどこかしらを強く噛んで血を出した。 それは独占欲であり、愛情でもあった。 「……!」 また背中を強く噛むと、綺麗な赤黒い血が流れ出す。そしてその血を太宰は一滴も残さぬように舐め取った。 鉄臭い。でも何故かとても甘くて美味しいもののように思えてならなかった。 血を舐め取ると、芥川の方が震えているのに気付く。 夢中になってしていたが、もしや怖い思いをさせてしまっていたか。 そう思い顔をチラリと横から覗くと、目を見開く。 「っ……ん、あっ……」 片手の甲を強く噛んで快楽に耐えようとする芥川の姿があったのだ。太宰はニヤリと笑みを浮かべ、囁く。 「痛いの、好きなんだ」 自分が与える痛みは彼を恐怖に陥れるものが多かった。でも、それがいつの間にか快楽となっている_____________。 嬉しくてたまらなかった。体が熱くなり、先刻より更に芥川を求めた。 "もう無理だ" "やめてくれ"という声も唇で塞ぎ、無我夢中になって全身で芥川を愛した。 優越感に浸る中、私は不意に思う。 "このまま二人で溶けて、どろどろになって、誰にも知られぬまま消えてしまいたい_____________"と。 単純に、そう思ったのだ。

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