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第6話

「本当に良いのかい」 何時もの川を眺めている芥川君を見て、ぽつりと呟く。芥川は太宰の顔を見るとふっと笑む。 「貴方がそう言ったのでしょう」 そんな表情をする芥川君が愛しくて、返すように笑った。 手を取り合い、ぎゅっと握る。 死んでしまっても離れぬように。 「芥川君」 「……なんですか」 死を前にして怖くないのか。周りにいる人はそう思うだろう。でも、彼らは笑っていた。 とても穏やかに。 「愛しているよ」 そう呟くように言うと、目から一筋の涙が流れる。 芥川は太宰のそんな姿を見ると、目を見開いた。 「僕もです」 照れくさそうに言った。太宰は嬉しそうに微笑すると、手を強く握る。 そして、合図も無しに二人して川へと身を投げた。

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