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第7話

かりかりとペンでものを書く音がして目が覚めた。 気づくとおれは、ソファーに寝ていた。 起き上がるとパサっと毛布が落ちる。 きっとおれにかかっていたものなんだろう。 「あ、起きた?」 声がした方に目を向けると、天野先輩が自分の机でなにかを書いていた。 「会長………?」 「なにそのポーっとした声。さっきまで何してたか覚えてる?」 「さっき………」 ボーッとする頭を必死に回転させて記憶をたどる。 たしか、書類を届けにここに来て、机に無造作に置かれた天野先輩のカーディガンに気づいて………。 「あっ」 さっきまで天野先輩にされていたことを思い出して、いっきに顔が熱くなる。 なんで天野先輩、あんな平気な顔して書類なんか…っ。 「ふっ。顔真っ赤」 天野先輩がペンを置いて立ち上がり、こちらに歩いて来た。 散々おれを弄んだ天野先輩の手が、するりとおれの頬を撫でる。 思わず後ずさると、天野先輩はけらけらと可笑しそうに笑った。 「さっきまであんなに積極的だったのに、なにその反応。あ、でも途中からトんでたからもしかして覚えてない?」 「…………っ」 「覚えてないんだ?普段は真面目な七琉ちゃんが、まさかあんなに変態だとは思わなかったなぁ〜」 にやにやと笑いながら天野先輩はスマホの画面をこちらに見せた。 「ほら」 のぞき込むとそこには、目を背けたくなるほど快感に溺れた顔をしたおれがいた。 「こ、れっ…!」 手を伸ばして取ろうとすると、ひょいとよけられる。 「だーめ。重要な写真なんだから。我ながらうまく撮れたと思うんだよね」 それから天野先輩はおれの耳に口を寄せて言った。 「七琉ちゃん、今日からお前俺のペットな」

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