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「いや、私の子供に昨晩ねだられていてね…妻に似て可愛い子でつい甘やかしてしまうんだ…今年高校二年生になったばかりでね、写真見る?」 「へぇ、俺とタメです」 柊吾がそういうと水無瀬は子供の写真が入った手帳を取り出す手を止めて首を傾げた 水無瀬が不思議がるのも仕方ない、今は平日の真昼間で高校生なら今頃授業の真っ最中だ それに柊吾はみるからに元気で病欠をしてるとは思えないしかといって学校を平気でサボるようなやんちゃな子とも思えない 「えっ、あ…すまない…しっかりしていたから大学生かと」 「あはは、よく言われます…ちょっと家の事情で…最近中退したんすよ…」 それを聞いた水無瀬は同い年の子供がいるということもあってか柊吾のことを心配してくれて、道案内のお礼も兼ねてケーキ屋の斜め向かいにある喫茶店で何か奢るから良かったら話を聞かせて欲しいと言ってきた (なるほど!これが情けは人の為ならずってやつか!) 柊吾は小腹が空いていたし次のバイトまでの時間を埋めるのにちょうど良かったから喜んで頷いた 店に入った柊吾はミックスサンドとカフェオレを、水無瀬はアメリカンコーヒーを頼み品が揃ったところで柊吾は身の上話を始める 「俺の家父子家庭なんですよ、母親は俺が小三の時に男作って出て行って親父が男手一つで育ててくれてて……けど半年前に階段から滑って落ちて腰を悪くして、親父の仕事は肉体労働だったから働けなくなって…なんかそっから酒飲むわパチンコにハマるわでしばらくは貯金でやりくりしてたけど減る一方で…親父は働く気ないしこのままじゃどうにもならないから高校やめてバイト掛け持ちして働いてるんです」 さっきまではコンビニで今から弁当屋、たまに雑貨屋で働いてるんだと柊吾は不満も疲れも見せずに笑った だから一杯四百円のカフェオレも八百円するミックスサンドも柊吾にとってかなりの贅沢だ…それらをあっという間に食べ終わり、お礼を言おうとしたら水無瀬が複雑な表情で柊吾を見ている

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