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「お疲れ様です折原くん、ここが水無瀬邸です」 「おぉ…さすが…」 目の前に立つのは三階建ての白亜の家 大きな箱のようなその家はシンプルに見えてこだわりを感じる、今からここで暮らすのかと惚けていると秘書の男が柊吾の荷物を降ろしてくれた 初対面の大人に世話をしてもらうのは気が引けて慌てて自分で運ぼうとしたが首を横に振られた 「水無瀬さんから折原くんの荷解きと家の案内を頼まれてますので…午前中は暇をもらっているので足りないものがありましたら言ってくださいね」 「ぇえ!?いいっすよ!荷物少ないし!部屋とトイレ案内してもらえるだけで!」 それだけで十分だと秘書を説得して家の中を案内してもらう シンプルな外観の家と違い庭は白い家によく映えるカラフルな花がたくさん植えられていた 大きなウサギのトピアリーや小人のガーデンピック…目立ったのは木製のブランコ、玄関の靴棚には手のひらサイズの観葉植物がいくつもあり壁には水彩画で描かれたほんわりとした花や動物の絵も飾られていて… 男の二人暮らしにしては随分と可愛らしい趣味だ、家政婦の趣味が影響してるとは思えないし他界した水無瀬の妻の面影を維持してるのかと柊吾は思ったが……一つの可能性が思い浮かんだ 同い年の子供の性別をはっきりと水無瀬から聞いていない…もしかしたら女の子じゃないのか?という可能性だ (男の俺に面倒を任せてきたから当然男だと思い込んでたけど…女の子って事もあり得るのか!?甘いもの好きで可愛い雑貨や花が好きな女子高生だったりするのか!?) 「ここがトイレで…折原くん?」 「!…あっ、はい!ここが俺の部屋ですね!?オッケーです!」 「いえ、トイレです、部屋はこちらですよ」 上の階へ案内をしてもらおうとしたとき…トントンと誰かが階段から降りてくる足音が聞こえてきた。

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