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第2話ご主人様と犬
自室へ案内してもらった柊吾は一人で少ない荷解きをしている
必要な家具は揃えておくからと好みの色や趣味を水無瀬に聞かれていたが部屋に入るとまさに柊吾の理想の部屋がそこにあって変な声で驚いてしまった
部屋は八畳と広く大きな窓から光が差して気持ちがいい
(あ、これ…明後日から通う高校の制服や教材か…)
テーブルに置かれた真新しい教材や通学カバン、クローゼットを開けるとビニールに包まれた制服がかかっている
もう高校に通えないと思っていた柊吾はそれらを見て嬉しそうに口角を上げた
「…で、あの…荷解きの手伝いならいらないけど?」
振り向いた先…ベッドの上には天誠がいて寝転びながらスマホのゲームをしてお菓子を食べている
一応聞いてはみたけど天誠は荷解きを手伝いに来てくれたという様子ではなく、むしろお菓子のカスでベッドの上を汚していた
(早速嫌われてるのか…?…まぁ、疎まれてもしょうがないよな)
柊吾はベッドに腰掛けて天誠に笑いかける
「悪かったな、こんな事になって…面白くねーよな…突然他人が家に住みはじめて来てしかも学費やら生活費やら世話になって…でも俺、お前の親父さんにはすげぇ感謝してるし、いつか恩返しするからさ、お前の面倒も見るように頼まれてるし俺ができる事なら何でもするから!だから困ったことがあったらなんでも言ってくれよ、学校の宿題とかも多少は……いてっ!」
話しながらポンポンと頭を撫でれば不快に思った天誠が柊吾の手に深く爪を立てた
その痛みに柊吾はベッドから飛び降りて恐る恐る痛みの箇所を見れば薄っすらと血が滲んでいる、怪我を負わせた天誠は悪びれる様子もなくゲームを続けてお菓子を食べていた
「いてぇだろ!?」
「汚い手で触って来たお前が悪いだろ、死ね」
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